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急に痴話ゲンカを始めたカップル「君は大切な存在だけど…」という男性の真意は?

切なすぎる長いハグの末、別々の帰路へ

女性結局、夕方まで2人で最後の時間を過ごした後、男性の方は駅までのタクシーを呼んでほしいと受付係の私に頼んできました。通常、タクシーの到着までは数分。とうとう別れのときです。 あっという間に10分ほど経ち、タクシーの到着を伝えに行くと、そこにはぎゅーっとハグをする2人の姿。涙の止まらない女性をなだめる男性に声をかけるのも申し訳なく、切なすぎて近くで見ていることにも罪悪感を抱いてしまうような。そこに夕方の光が絶妙に差し込んでいて、つい「しばらくそっとしておきたい…」と思ってしまうような、そんな悲しくも美しい光景だったのでした。 男性が去った後、女性はヴィラの庭に座ってぼーっと過ごしていたため、私はカモミールティーに小さなビスケットを添えて彼女の下に置きました。一説に、心の落ち着きを与えてくれるというハーブティーです。

最後の思い出作り?それとも手切れ金の代わり?

私は内心、彼を駅まで送らなかった彼女を見てホッとしていました。フラれても良い人を装ってしがみつくのではなく、突き放す道を選んだ彼女に「拍手を送りたい」と。そういう心境ながらも、あえて私から客の私情に触れることはなく、ハーブティーはせめてものサービスです。 それにしても、男性にとって高級ヴィラでの宿泊は、最後の思い出作りだったのでしょうか。それとも手切れ金の代わり?罪滅ぼし?別れ話をするために遠くから会いに来て、一緒に一泊してから別れるなんて。それが彼なりの優しさだったとしたら、より罪深いなと感じたものです。 <文/ゆきニヴェス>
ゆきニヴェス
脱サラを機にヨーロッパ中を旅し、ワイン好きが高じてイタリアに住み着いた自他ともに認める自由人。フリーライター及び取材コーディネーターとしても活動中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員
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