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香取慎吾×的場浩司×井之脇海の“緊張のほぐし方”とは?豪華3ショットインタビュー

「真面目に芝居をすることによって逆に生まれるもの」

(C)2022“犬も食わねどチャーリーは笑う”FILM PARTNERS――的場さんは、自然体からコミカルさを滲みださせるアプローチだったわけですね。 的場:人間というのは、それがくだらないことなのに一生懸命になっている姿が面白く映るものですよね。例えば、慎吾ちゃんが鳥の唐揚げが大好きだとします。鳥の唐揚げのことを一生懸命になって話していたら、好きだという熱が伝わると同時に、香取さんって面白いな、と思う。たかが唐揚げなのに、そこまで熱を持って話すからです。僕は慎吾ちゃんが唐揚げ好きか、実際は分からないですが(笑)。 香取:好きです、唐揚げ! 的場:あっ、ありがとう(笑)。 井之脇:(笑)。 的場:そうした日常の例のように、真面目に芝居をすることによって逆に生まれるものがあると思うんです。 香取:僕も的場さんのように自然なアプローチを意識していました。でも表情の演技に関しては、監督に「もうちょっと、もうちょっと」と、誇張した演技を求められた演出がところどころありました。  仕上がりの映像を見て確認すると、あの場面ではこのぐらいの表情があった方がよかったんだなと思いました。おそらく顔の表情で演技する場面では、初めのテイクは、僕の演技がもっと静かだと思います。 ――まさにスマホの場面など。 香取:はい、あの場面はクランクイン直後の撮影でしたが、作品のトーンとしても自然体を意識して、静かな演技として表情を作っていました。それが場面によっては、誇張するんだなと気づいて、コツをつかんでいきました。 的場:僕は、慎吾ちゃんと逆で、自然にやっているつもりなのに、「もうちょっと表情を抑えてください」と指摘を受けました。店長、副店長、店員の三人でコミカルなやり取りをするロッカールームの場面など。  監督とは何度もディスカッションしましたが、ほんとうに面白い方です。演出中に悩むと、ひとりで頭をがりがりかきながら考えてて(笑)。監督とは初めての現場だったので、なるべく監督のイメージを叶えたいなと思って演じていました。

「市井監督は、憎めないというか、愛らしいというのか(笑)」

matoba――2008年の「ぴあフィルムフェスティバル」では香取さんが審査員で、そのときに市井監督が出品した『無防備』(2007年)がグランプリを受賞しています。さらに、香取さんの楽曲「FUTURE WORLD(feat.BiSH)」のミュージックビデオを市井監督が監督するという間柄です。市井監督は、脚本同様に現場でもかなり素の面がでていたんですね。 香取:的場さんが仰るように、監督は面白いんです。頭を抱えてる監督にスタッフ、キャスト全体がついていくなんて、あんまりないかな(笑)。 的場:そうね。悩んでる姿が、素敵なんですよ。いい作品にしようと、ワンカットワンカット、考えて、立ち止まって。そのワンカットに魂を込めている。作品に真剣に向き合っているから、どのカットに対しても妥協しない。譲らない。しかし現場では、役者の芝居を見て、そこからどうすれば面白くなるのか、スリリングに見えるのかを懸命に考えておられました。素敵な監督だなと思いました。 香取:僕らが「こうしたいんでしょ!」と監督の考えていることを汲み取ると、すると今度は監督が「やっぱりやめます」となるんです(笑)。それに翻弄されていくにつれて、現場のみんなが「この人のために」という雰囲気になりました。監督は、憎めないというか、愛らしいというのか(笑)。 ――井之脇さんは、市井監督の現場は、今回が初めてでしたか? 井之脇:初めてです。以前から作品を拝見して、ご一緒したいと思っていました。市井監督作品のシュールさについて考えていました。どうやって撮っているのか、ずっと疑問だったんです。カメラワークには意図的な演出を感じますが、おそらく芝居はそうした計算だけではないだろうと。  すると、やっぱりそうだったわけです。自然に演じる中でちょっとした変な間が生まれ、しかもそれをフラットに演じているからこそ、芝居が跳ねる瞬間がありました。それを今回の現場で体験できたことが面白かったです。
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「すべてルーティーンの中にあるんです」
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