前半と後半で別人!大河の真骨頂「人の一生」を演じきる
最後に強調しておきたい、小栗の演技の凄さ。それは、人の成長と変化を繊細に表現していることです。前半の義時(小栗)は、主に頼朝(大泉)や周囲に振り回されることが多く、純朴で青臭さも残る青年を、実にリアルに演じていました。
しかし義時は、頼朝の死後、
徐々に鎌倉を守るために犠牲を厭(いと)わない人物になっていきます。そのまるで別人のような変化を、小栗は実に丁寧に表現しているのです。

『NHK大河ドラマ・ガイド「鎌倉殿の13人」後編』(NHK出版)
多くの人たちの想いを受け継ぎながら、自分のなすべきことを見つけ、戸惑い苦悩しながらも粛清(しゅくせい)していく姿。その変貌ぶりは、顔つきや眼光の変化からも伺えます。差異を示している要素の大半は、メイクや衣裳の違いではなく、小栗の演技力に他なりません。
番組公式HPの写真で、
第1話と
第39話の義時を比較すると、
とても同一人物とは思えないのですが…物語の過程を観ている視聴者には納得の表現なのです。
いよいよ『鎌倉殿の13人』は、主人公・北条義時(小栗)と後鳥羽上皇(尾上松也)が戦うクライマックス「承久の乱」へ。小栗がどのように義時の生涯を締めくくるのか。残り10話が今から楽しみでなりません。
<文/鈴木まこと(tricle.llc)>
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日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:
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