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岡田将生のナース役に引き込まれる!『ザ・トラベルナース』にみる米アカデミー帰りの実力

トラベルナースを演じながら旅をする

 第3で、歩は、患者から訴訟を起こされる。その夜、寮の食堂で九鬼から「あなたはプライドだけが無駄に高く、感情も制御出来ないバカナース。のみならず、リスクヘッジも出来ないクソガキ」と言われ、さすがにかちんときて九鬼の襟首を掴んだ。そのあと、相部屋のふたりは嫌でも顔を突き合わせなければならない。意外にも口を開き、相手に素直に心を開いたのは歩だった。  壁に腰をあて、片膝を立てた姿勢で、やや虚ろな表情だが視線は真っ直ぐ伸びる歩の姿は、『ドライブ・マイ・カー』で怪演した高槻役のあの美しい瞳にそっくりだ。目上の人から何かを教わるうちに自分の内面が劇的に変化する意味では、歩と高槻は役柄も似ている。いやぁ、ほんとうに不思議な魅力を持ったドラマである。 『ドライブ・マイ・カー』で見事に演技と向き合った岡田将生は、ハリウッドへ出て、アカデミー賞という世界の大舞台を経験した。トラベルナースの那須田歩は、アメリカでの仕事が認められ、日本へ帰国した。トラベルナースを演じながら、岡田将生もまた旅をする。いったい、どこへ? どんなトラベル(もしくはトラブル?)になるのか? そんなことを考えながら、この先も見ていたいドラマだ。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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