こういう窪田正孝が見たかった…!映画『ある男』にみる狂気と絶望の表現
「別次元」「集大成」の理由
普遍的な「自分以外の誰かになりたい」という願い
この『ある男』は「自分以外の誰かになりたい」という、ある意味では普遍的な願望を描いた寓話(教訓を与える物語)とも言える。窪田正孝演じる謎の男「X」が抱えていた深刻な事情はもちろん、妻夫木聡演じる弁護士は在日韓国人三世であり人種差別的な言動に敏感になっていたりもするのだから。
そうした例に限らず、現状の自分にコンプレックスを持ってしまい、他の誰かの境遇をうらやましく思う、いや「その人になってみたい」というのは、やはり大なり小なり誰もが一度は思ってしまうことだろう。その願望に対し、一元化した答えを出さず、人それぞれが主体的に考えられる「宿題」を持ち帰ることができるのも、本作の意義だ。
<文/ヒナタカ>
ヒナタカ
WEB媒体「All About ニュース」「ねとらぼ」「CINEMAS+」、紙媒体『月刊総務』などで記事を執筆中の映画ライター。Xアカウント:@HinatakaJeF







