「子どもにワクチンを1本も打ってないことが不安になった」ディープな“自然派育児”から抜けだした女性が語る後悔
「家族が自然派ママ」という人の苦労話を聞くことがよくあるが、Mさんの周囲はどう受け取っていたのだろう。
「昔からの友人には独身も多かったからか、『子どもを持つといろいろ気を遣うんだね!』くらいの反応でした。夫は海外赴任も多く基本的に日々の世話を見る機会が少なかったので、食材にこだわる私を見て『すっかり健康的になったね』程度です」
自然派育児で最も衝突し、今でもしこりがあるのは、孫の体を心配するMさん母だ。
「会うたびにケンカばかりです。保湿とか病院とかワクチンとかは何もしてあげないくせに、風邪とかひくとレメディやらお手当てやら余計なことばかりする!って(笑)。ぐうの音も出ないほどその通りなのですが、当時は自分のやっていることが正しいと思っていたので、それはそれはぶつかりました」
【前々回の記事】⇒子どもにワクチン打たせない、薬も飲ませない…“自然派育児”をするママの沼
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沼抜けした今も、当時できた傷跡がたまに開く。
「頻繁に実家に滞在していたんですが、当時は食材とかにすごく気を遣っていたので、親のやることがいちいち気に障るんですよ。だから子どもの離乳食と洗濯は私がやる! と親に手出しをさせなかった。一緒にスーパーマーケットへ行っても、私がアレもダメコレもダメと言っていたので、今でも私たち親子と過ごすときは、一体何を買えばいいのかわからないと言われてしまう」
育児の常識はどんどん変わっていくので、育児法をめぐっては世代が違うだけでも衝突の種になりがちだ。そこへさらなるこだわりが加われば、いわずもがな。
さらに自然派コミュニティのなかでも、微妙なトラブルがたびたび発生していた。
「ママ友たちの中には、アトピーの子どもを持つ人も少なくありません。それがきっかけで、自然派になる人が非常に多いので。するとその親たちは、また別口で脱ステロイドコミュニティを作るわけです。私のママ友が所属していたコミュニティでは、ステロイドは使わず、たんぱく質をはじめとする栄養をしっかり摂ろうという感じでした。ところがそこへ、玄米菜食の自然派ママが入ってきて意見の衝突が生まれ、いろいろといざこざがあったみたいです」
家族との衝突。コミュニティのもめ事。代替医療(ホメオパシー)で治らなかった子どもの虫歯。地味にかさんでいく、食費(自然食は高い)。自然派仲間の挑戦的な企画(例:おまるピクニック)。そうした出来事が積み重なった状態で、子どもの幼稚園入園の準備から、沼抜けがはじまっていく。
育児をめぐって実母と衝突
自然派ママにも派閥あり
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