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ドラマ『silent』はスマホの使い方が神、“消す”ことで視聴者だけ分かる本音って

登場人物の胸の内を映し出すスマホ

 第6話のラストでは、奈々(夏帆)の姿に涙した人も多いだろう。夢の中、想とスマホで話して落ち会い、憧れの青いハンドバッグを片手に、もう片方の手は想と手をつないで話しながら歩く。そして現実の世界、泣きながら歩く奈々に、想から音声着信が入る。奈々のもとへ駆け寄った想の目をまっすぐに見つめながら、スマホを耳にあてる奈々の全身から思いがあふれていた。  第7話では、紬と想が関係を取り戻したが、かつてと全く同じというわけにはいかない。中途失聴者の“多く”が声で話すと聞いた紬が、素朴な疑問として「声で喋らないの、なんで?」と想に尋ねた。話したくない理由を抱える想は、「声がすきなんだもんね」とテキストに入力するも、それを消してスマホを置く。第1話での検索履歴を「消す」行為もそうだが、消したことを視聴者に見せることによって、登場人物が飲み込んだ心の内を視聴者にだけ伝える。 ======  フジテレビヤングシナリオ大賞の昨年の受賞者で、これが脚本家デビュー作となる生方美久の紡ぐ世界は美しく、繊細で、なおかつ痛みも含んだリアリティを伴っている。そこにはさまざまな小道具使いや、印象的なセリフも数多いが、スマホをドラマチックアイテムへと復活させた功績も大きい。加えて演出、映像、思いのこもったキャストたちの演技が一層引き付ける。物語の先が楽しみであるとともに、終盤に入ってきたことが切なくて仕方ない。 【関連記事】⇒ドラマ『silent』プロデューサーが語る「紬が“青い服”を着ているワケ」 【関連記事】⇒話題沸騰のドラマ『silent』、最終回への想いを村瀬健Pと脚本家・生方美久が語る 【関連記事】⇒『silent』ロケ地のカフェ、120分待ちの大行列。オーナーは目黒蓮のファンに 【Amazonで予約受付中!】⇒『silent シナリオブック 完全版』の詳細はコチラ <文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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