――パートナーのノダDさんが不機嫌になったり家族に対してキレる問題は、以前からあったのでしょうか?
水谷さるころさん(以下、水谷):以前は、子どもというよりは私に対してキレることが多かったです。子どもが生まれた後にそういう態度が原因で一度大きなケンカになりそのときは第三者に入ってもらうことなく夫婦で話し合いをしました。夫が反省して、「怒る必要のないところでキレている」と客観的に認識できるようになって、キレる頻度が減って平和になったと思っていました。
――ノダDさんが再びキレるようになったのはなぜだったのでしょうか?
水谷:子どもが5歳くらいになった頃から、夫がイライラすることが増えてきました。相変わらず私に対してキレることはあまりなかったのですが、子どもが成長し幼児ではなくなってきたことで夫の接し方が変わってきたと感じました。それに加えて、コロナ禍で保育園が休園になり家族で過ごす時間が急に増えたことが大きかったです。
――夫が不機嫌なときに「どうして怒っているの?」と聞くと「はあ? 怒ってないし」と逆ギレされるシーンは、多くの家庭で見られる光景ではないかと思いました。
水谷:「あるある」だと思います。自分の認知が実際の状況と合致しないのは、男女問わずよく起こっているのではないでしょうか。
――ノダDさんがキレることで、お子さんにはどんな弊害があったのでしょうか。
水谷:子どもが夫をわざと怒らせることが増えました。カウンセリングで原因が分かってきたのですが、それは「試し行動」だったんです。子どもは家の中によく怒る人がいると、「いつ怒るか分からない」ことが怖いんです。でも怒らせれば「知っている状況」になるから安心する。子どもの試し行動は、ストレスのある状況が根本にあるんです。でもそれは同時に、試し行動をされるほうにとってもすごくストレスがかかってしまいます。
――お父さんさんに怒られないよう、お子さんが嘘をつくようになったことも描かれていました。
水谷:「ご飯を食べたくない」と言うとお父さんに怒られるから「お腹痛い」とか「お腹いっぱい」と言ったりしていました。「食べたくないけど怒られたくない」と子どもなりに考えた結果なんです。しかし、私がいない夫と子どもが二人きりのときは全くそういうことはしませんでした。それは「お父さんが怖いから」とカウンセリングで指摘されました。
私がいるときは私に助けてもらえるからやるんです。試し行動が子どもからのストレスのサインだということは、普通に生活をしていると気がつかないことが多いと思います。カウンセリングで指摘してもらってよかったです。