さらに本作には日本からもうひとり、脂に乗った俳優さんが参戦しています。ミフネ会長の右腕として、「チーム・イール」（←勝手に命名）結成に最も尽力した人物と言っていいサトウ・リクを演じる平岳大さん（47）です。ある一定の年齢以上の人には、平幹二朗さんと佐久間良子さんの息子さんとして知る人もいるかと思います。 　15歳のときから渡米して学業を修めており、英語も堪能なため、現在はハリウッドを中心に活動中。BBC/Netflix制作の『GIRI/HAJI』（2020）では、英国アカデミー賞テレビ部門主演男優賞にノミネートされました。英語力を抜きにしても、もともと日本の枠に収まり切らないオーラを備えた役者さんなので、海外作品での活躍は納得。『THE SWARM』でも十二分の存在感を放っています。 　さて、「チーム・イール」の科学者たちは、イールが固有の音を出していることを突き止め、交信を試み、成功しかけますが、ある出来事により失敗に終わります。海、そして深海からの警告を伝える本作からは、圧倒的なスケールの世界観と映像が売りでありつつ、海を侵食してきた人類へのメッセージが届きます。特に終盤の展開には、腐海の登場する某日本の作品がよぎりました。ともかく、人類は海（地球）の代弁者とも言うべきイールに滅ぼされるのか、逆に滅ぼそうとするのか。否、希望を見つけられるのか。超大型深海SFサスペンスにして、現代の環境問題と切り離せない作品です。 (C) SchwarmTVProductionGmbH&CoKG ＜文／望月ふみ＞