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フランスでは「熟女ファースト」が成立する理由…日本では考えられない“意外な価値観”

フランス人と日本人の恋愛事情

 本書を読んで私が驚愕したのが、「サムライ」に「ゲイシャガール」。これらは、未だに日本人につきまとうイメージのひとつだというのです。 フランス人との恋愛はちょっと注意? 余談ですが、私は30年前イギリスに留学していました。当時「日本女性は、自己主張せず、従順で、男性を立てて、いつも微笑みを浮かべ、『ノー』と言わず、白人男性に弱い」と思われていました。が、30年経過してもこのイメージが不変だとは、驚愕するしかありません。「フランス男の口のうまいこと!」と本書にありますが、こちらも時代に関係なく不変なようです。  次いでこれも永遠の謎、「日本人女性は海外でモテるのか?」問題。本書いわく、男性の注意を引きつける理由があるといいます。それは日本人に限らずアジア人女性につきまとう「男性に快楽を与える秘訣を持っている」というイメージ。つまりモテるのとは違うのです。ただフランス人と日本人のカップルもいますので、どう発展するかはお互いのコミュニケーションと運命の成せる技と言えそうですね。

時にはカフェでまったりするのも大切

 日本でも素敵なカフェは増えましたが、文化というにはまだ追いつかない感があります。なぜなら、心の底からくつろげるカフェがいったいいくつ存在するのか?と疑問視してしまうからです。コーヒーだけで長時間いられない、そろそろフードをオーダーしないと店員が冷たくなりそう……、と心がざわついたりしないでしょうか。
時にはカフェでまったりするのも大切

モンマルトルでの1枚

 フランスでは「コーヒー1杯で何時間でもいられる」というのは過言ではないそうです。思えばかつて観たフランス映画でも、「1日中カフェにいる人達、しかも毎日メンバーが同じ」という描写がありました。しかも店員さんも笑顔を絶やさず、家族のように接しているのです。この穏やかな世界は映画だけではなく、現実の日常なのです。  友人と待ち合わせ、知人と食事またはお茶。仕事の商談、等々。誰かと楽しむカフェは理解できるけれど、ひとりで読書したり仕事や勉強したり、家でできることをなぜわざわざカフェで何時間もやるのだろう、と首を傾げる人もいるかもしれません。日本でもフランスでも、時にはひとりで何も考えずに、カフェでダラダラ雑踏を眺めている人もいるでしょう。  ところがフランスだと「『ダラダラ』とは言われず、『détendu=肩の力を抜いた、余裕のある』というポジティブな態度にとられる」といいます。まさに生きることを楽しむ能力にたけたフランス人。これぞ幸せへの近道です。  本書には、ホームパーティ、バカンス、リアルな食卓や出産や子育てなど、生きる上でベースになる項目から、旅行に役立つパリガイドまで掲載。読みごたえは十分です。「La vie est belle!(美しきや人生)」。この精神をフランスから学び、私も輝く人生を謳歌したいです。 <文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
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