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家電量販店で働く81歳女性、いつまでも「周囲から必要とされる存在」でいるコツ

「人を喜ばせるのが好き」熊谷さんの接客

 買い手、特に家電に詳しくない高齢者にとって、「無理に買わされるのではないか」「高額商品を勧められるのではないか」といった不安はつきものでしょう。専門知識が必要でしかも様変わりが早いといったら、スマートフォンやパソコン。熊谷さんも「詳しい機能について説明できる知識はない」と言います。必要とあらば、若いスタッフの助けを借り、お客様にご迷惑をかけないようにする、お客様ファーストを心がけています。 「人を喜ばせるのが好き」熊谷さんの接客理念 同世代や高齢の方の質問や疑問は、熊谷さんにとっても身近なもの。なかには買い替える必要はなく、使用方法を変える、あるいはお客様が使用方法を勘違いされている場合もあります。そういう方には懇切丁寧に説明し、アドバイスするのが熊谷さん流。直接の売り上げにはなりませんが、感謝につながり、やがて再訪してくださいます。  わからないこと、苦手分野は若いスタッフに頼る。その代わり、若いスタッフが苦手な包装や細かい作業は引き受ける。頑なにならず、素直にコミュニケーションする熊谷さん。お客様だけではなく、働く仲間にも「ありがとう」の思いが広がり、良い環境になっていくのではないではないでしょうか。

目標は「生涯現役」

 勤務中、家電の品出しは必須です。力仕事ですから、足腰に負担がかかるのは当然のこと。熊谷さんの目標は、「生涯現役」。体のメンテナンスは怠りません。帰宅後は「シックスパッドフットフィット」でふくらはぎの筋肉をほぐし、マッサージ機で全身をケア。野菜中心のお食事に、脳トレにも励みます。家事も頑張りすぎず、家電を活用してうまく手を抜くのです。食洗器にコードレスクリーナー、便利なのは実証済みです。 目標は「生涯現役」 元気で溌溂(はつらつ)とした印象の熊谷さんですが、年齢を重ねるごとに、ままならない出来事もあったそうです。物覚えが悪くなってきた、集中力がなくなってきた、等々。誰にでも平等にやってくる、老い。そこで立ち止まってしまっては、ますます心身が弱ってしまいますよね。 「生きることは、続けること」。本書のタイトルにもなっている「接客は天職です」の言葉は、今まで接客を続けてきたからこそ、胸を張って断言できるのでしょう。生きることは、毎日の積み重ね。昨日できたことを、今日もやってみる。日々の積み重ねが、やがてかけがえのない人生になっていきます。「生涯現役」でいるために、今日も笑顔で接客する熊谷さん。私も見習いたい!と切に思うのです。 <文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
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