『THE SECOND』元人気お笑い芸人が感じた「ほかの賞レースとの決定的な違い」
トーナメント方式の予選が招いたこととは?
――なるほど!「THE SECOND」は、予選も同じ形式で行われ、ファイナリストは、すでにテレビで活躍中の三四郎、スピードワゴンや、それぞれ東西の劇場番長といわれる囲碁将棋、テンダラーといった多様なメンバーでしたが、どのようにご覧になりましたでしょうか? <まさに多様でしたね。それぞれの芸能界での立ち位置も多様ですが、それ以上に、漫才のスタイルが多様なことに感動すら覚えました。テンダラーの関西正統派漫才や、金属バットのやさぐれたような漫才、超新塾の団体芸などなど、「漫才の形はこれほどまでに種類があるのか」と思わされました。極論を言えば「コンビの数だけ漫才の形がある」とは思いますが、やはり今回のメンバーは、そのスタイルで何年も貫(つらぬ)いているコンビばかりなので、それぞれの個性がしっかりと立っていました。 ファイナリストの選出方法が他の賞レースと違い、予選もトーナメント方式になっています。総出場組133組を選考会で32組に絞り、そこからトーナメントという方式です。言い方を変えると、「トーナメントのベスト8から地上波放送が入る」ということです。 この方式が用いられたときに、他の賞レースでは起きない「あること」が起こります。それは、「運営がファイナリスト全体のバランスを調整することができない」ということです。 他の賞レースでは、決勝進出者を10組程度、準決勝から1発の選考で選出します。もちろん、「面白かった10組」を選考しますが、やはり選ぶ側も人間ですから、「このコンビとこのコンビは芸風が似ているから二者択一かな」とか、「こういう変わったコンビが1組くらいいてもいいかな」という心理は働くはずです。結果として反映されているかはわかりませんが、無意識のうちにバランス調整をしていてもおかしくはありません。 ところが、トーナメントでベスト8を選ぶとなるとそうはいきません。まったくバランス調整されていないのに、ここまで多様な芸風が揃うのが「THE SECOND」の特徴のひとつなのかもしれません。 トーナメントで予選をすると、上から数えたらベスト8に入っているコンビが負けてしまっている可能性がある、というデメリットもあります。しかし、逆に考えたら、来年以降もまだまだ面白いコンビが出てくるかもしれない、という考え方もありますね。>5月20日に放送される『THE SECOND~漫才トーナメント~』のトーナメント抽選会&記者会見が行われました💪
— フジテレビュー!! (@fujitvview) May 9, 2023
第1回戦は #金属バット VS #マシンガンズ に決定!
詳しくは後ほど#ザセカンド #囲碁将棋 #ギャロップ #三四郎 #スピードワゴン #超新塾 #テンダラー pic.twitter.com/5orfUlSV7v
ゲスト芸能人や売れっ子の先輩VTRもない驚くほどにシンプルな構成
――久しぶりに新しくスタートするお笑い賞レースということでも注目されていましたが、いかがでしたでしょうか? <月並みですが、非常に面白かったですね!セットも演出もカッコよくて、最高でした。賞レースはSNSの盛り上がりも醍醐味のひとつですが、今大会は特に若手芸人の応援や反応が熱かった印象があります。 内容は驚くほどにシンプルな構成でした。賞レースの多くは、幅広い視聴者に見てもらうために客席にゲスト芸能人を配置したり、売れっ子の先輩からVTRでのエールがあったり、それだけでなく敗者復活の演出や優勝特典の紹介など…、「ネタ自体にそれほど興味がない人にも楽しんでもらうための施策(しさく)」が多少は入ってくるものですが、それがほとんどありませんでした。ひたすらにトーナメントで漫才を見せていく。それも4時間の長丁場! 芸人審査員もいないので、ファイナリスト以外の出演者は、アナウンサーの2人を除けば、東野幸治さんと松本人志さんの2人のみ。シンプルな構成に、制作されている方の勇気や自信を感じました> 【関連記事】⇒有吉も祝福!準優勝マシンガンズが芸人仲間から愛されるワケ「悪く言う人を聞いたことがない」…激戦の『THE SECOND』を振り返る


