そんなときに出会ったのが「お笑い」だった。たまたまお風呂上がりに見た『笑う犬の冒険』だった。ウッチャンナンチャンやネプチューンなどが出演していた、当時の人気番組だ。
そこで繰り広げられるコントを見て、彼は笑った。
「生きることはつらいことでしかなかったのに、笑っている時間はすべてを忘れていました。あのときお笑いに出会っていなかったら、今、僕はここにいないでしょうね」

録画したビデオを見ながら、コントを完コピしたこともある。クラスの友だちを誘って練習し、休み時間に披露したことも。女の子たちが笑ってくれた。それがうれしかったと彼は言う。自分にも何かできるかもしれないと思えた。
自分もお笑いの仕事をしてみたい。彼の心の中で夢がふくらんでいった。そして高校1年生の夏、奇跡が起こった。
当時、テレビ東京で放送されてきた『田舎に泊まろう!』という場組で、お笑いコンビ「レギュラー」の松本康太氏がほしのさんの家に泊まったのだ。この日、彼は芸人になる覚悟を決めた。
母に芸人になりたいと真剣に伝えた。
「母は、やりたいことをやりなさいと言ってくれたんです」

芸人になると目標が決まれば、あとは努力を重ねるしかない。 高校を卒業して単身上京。NSC(吉本総合芸能学院)15期生となり、相方を得てコンビを組むが解散。
吉本も退所して、新たにマセキ芸能社のタレントゼミナールに入り、2014年に、あいなぷぅとともに「パーパー」を結成、’17年にはキングオブコントの決勝にも進んでいる。仕事での“苦労”も、本にはさりげなくちりばめられている。
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