「今ならハラスメントな言葉も当たり前だった」ベテラン女優が振り返る“デビュー時の記憶”
自分の狭い知見の中だけで役を判断しちゃいけない
――「べき・ねば」から解放されて、思うことを言うことができたんですね。なにかきっかけはあったのでしょうか?
筒井:いろんなことがありましたけど、やっぱり1度言ってみた時に「あ、平気なんだ」って思えたことが大きかったのかなと思います。それの積み重ねかなって。
あとは、お芝居を通して、全然違う人を演じ続けていることも大きいですね。私、役に入るにあたって、近しい境遇の人に話を聞いたり、リサーチをしたりするのですが、いざ調べてみると自分が想像していたこととはまったく違うことが多いんです。その度に、自分が今まで生きてきた世界は、いかに狭かったのかに気付かされます。
――なるほど。かなり入念に調べられるんですね。
筒井:自分の狭い知見の中だけで役を判断しちゃいけないなって思うので。でも、そのリサーチを通して、自分の知見が広くなっていくのは、俳優としてだけでなく、人生にとっても役に立っているなと感じます。
「結婚適齢期」という言葉がまだ当たり前だった
――ライフイベントがきっかけで、自分の思い描いていたキャリアやライフプランを諦めなくてはならない女性もまだまだ多いように感じます。筒井さん自身は、そのような経験はありますか?
筒井:そうですね。私、映像の仕事を初めてしたのは、もうすでに30代だったんです。今だと珍しくないことだと思うのですが、当時って結婚適齢期って言葉があって、女子はもう20代前半までにデビューできなければ厳しいみたいな時代だったんですね。今思えば、ハラスメントになっちゃうような言葉ですけど、それが当たり前だったんです。
――そうだったんですね。
筒井:でも、時代は確実にどんどん変わっていて、自分らしく自然体に生きていく女の人が増えれば増えるほど、それは加速していくんじゃないかなと今は思います。私は時代が変わってきているのを目の当たりにしているので、10年前、20年前、30年前で全然違うんですよ。だから、若い人たちには臆することなく、1歩を踏み出して欲しいですね。
――1歩を踏み出すためには、なにが大切でしょう?
筒井:すごく当たり前のことではあるのですが、「やってみたい」と思ったときに考えるよりも飛び込んじゃうことが大切なのかなって。それで後悔することもあるかもしれないですけど、何もしないでこれで良かったんだろうかっていう方が、悔いが残ると思うので。時には衝動に任せるのもいいのかなと思います。若いころの方が、傷が癒えるのも早いですからね!
――すごくパワーをいただきました。ありがとうございました!
<取材・文・撮影/於ありさ>
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