久しぶりに心から楽しい時間を過ごした康貴さんは、沙絵子さんからの連絡が来ていたのはわかっていたものの、後で返事をしようと思い未読のまま放置したそうです。しかし、飲み会の後に帰宅するとすぐに眠ってしまい、週末だったこともあり、目を覚ましたのは次の日の午後過ぎでした。

スマホを見ると、沙絵子さんからの着信とLINEの連絡が何十回も来ています。うんざりした気分になっていたその時、沙絵子さんからまた電話がかかってきました。「今、○○駅(康貴さんの最寄りの駅)に来ているの」と言われ、仕方なく駅の近くのカフェで話すことになりました。
正直に飲み会に行ったことを話すと、沙絵子さんは怒り出し、「
もう絶対飲み会には行かないって約束してほしい! そうじゃないと不安なの。わかってくれるよね?」と、最後は泣きながら訴えてきました。
そんな彼女を見て、康貴さんも気の毒に思ってしまい、もう飲み会には行かないことを約束して、その場はとりあえずいつものように仲直りすることに。とはいえ、康貴さんは沙絵子さんとは正直この先一緒にやっていくのが難しいのではないかと真剣に考え始めてもいました。
そんなある日、沙絵子さんが仕事の愚痴(ぐち)を話し始めました。
「今の仕事はストレスも多くて、人間関係もよくないから、すごく大変。もう、仕事辞めちゃおうかな」と沙絵子さんが本当に辛そうな様子で話していたので、康貴さんは「
そうか、それは大変だね。それなら仕事を辞めることを考えてみてもいいかもしれないね」と、彼女を慰めるつもりで言いました。
ところが実は、沙絵子さんは今の仕事を辞めたいだけでなく、
結婚して早く寿退社したいと思っていたのです。