
「久しぶりに帰ってきたのに、親の世話はしないのか」
「孫と遊ぶ時間も少ない、ひどい」
「こんなの親孝行じゃない」
口々に出る不満は、夫がホテルに泊まることを電話で話したときには聞かなかったもので、美幸さんは「今ごろ言うの?」とうんざりしたそうです。
夫は「電話でも言ったと思うけど、この家は狭いしお互いに感染のリスクは避けるべきだから」と冷静に返しますが、義母の攻撃は美幸さんに向かいます。
「
息子の嫁なら私たちを最優先にするべきでしょう。何のために帰ってきたの?」
呆れたようにため息をつく義母を見て、美幸さんは「本当に腹が立ちました」と振り返りますが、夫と子どもの手前、声を荒らげることはできなかったそう。

「ずっとこちらにいますから」「買い物は私が行きます、お義母さんたちはゆっくりしてください」と何とか答えますが、義母はふたたび「
まったく、常識がないんだから」と横を向いて口にします。
もう我慢できない、と美幸さんが口を開きかけたとき、それを制するように夫が言いました。
「こっちは遠くからわざわざ新幹線に乗って来ているんだ。この家じゃ狭くてろくに寝る場所もない、感染のリスクもあるからホテルにした、とちゃんと話したはず。せっかく来たのにこんなに文句を言われるのなら、もう帰省はやめる」
すると息子の剣幕に、義母はひるんだように黙ったそうです。