7話は、特に岡村の心を大きく揺るがす展開になっていたことも興味深い。後半では
カメラマンが友子と室内で2人きりになろうと提案して強引に手を引く。その時、友子の両親が駆けつけて友子を守ろうとするが、両親に抱きしめられると友子は急変。
アイドルになることを邪魔されたと思った友子は
「邪魔すんじゃねぇよ」と大声を出し、訝(いぶか)しげな視線を送る通行人のことにはお構いなしで暴れ回る。両親はなんとか友子も気持ちを鎮(しず)めようと懸命に寄り添いながら、困惑する通行人たちに「お騒がせしました。申し訳ありません」と頭を下げる。
友子を心配して撮影の様子を見に来ていた岡村は、そんな両親の姿を無言で見つめていた。
性被害に遭いそうな娘を助けた次には、決して悪いことをしていないにもかかわらず周囲に頭を下げ続け、暴走した友子へ必死に寄り添い落ち着かせようとする両親。有紗との結婚を意識していた岡村にとって、
そんな彼らの様子は、結婚という決断を揺るがすものになったのではないか。

7話では岡村へ「有紗と結婚するのか」という問いかけも ©「初恋、ざらり」製作委員会
「有紗が友子のように暴れてしまったらどうしよう」「自分は周囲の人たちに頭を下げられるのか」という自問自答をしていたかもしれない。