小説には1日2回ということもあったと書かれていて、驚きました。イケメン若手IT社長の母袋晃平さんは20代30代の女性にもモテそうですが、48歳年上の女性にも性的な欲求は普通にわいてくるものなのでしょうか。後学のためにも伺いたいです。
「セックスしてみれば年は関係ありません、と言ってました。ただ、褥(しとね)の周りに、昔の男の写真がいっぱい飾ってあったそうで、よくそんなところでできるなって思いましたね。もちろん全員亡くなっています」
ここまで書いて寂聴ファンの女性たちから、ショックだったとか感想はなかったのかと伺うと、今のところとくにない、とのこと。この恋物語をひっそりと熟読し、まだ女性としてあきらめなくてもいい、と勇気づけられているのかもしれません。
「最後の最後はいい人になって、講話や人生相談で人々を元気づけていた。それまでエゴを突き詰めて恋愛をやり切ったんでしょうね」

『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』KADOKAWA
そんな風に、女性として作家として生き切った寂聴先生に対峙するため、延江さんも本気で挑むつもりで書き切ったそうです。
「遠慮したら寂聴先生に申し訳ない。逆説的ですが、事実に基づいて書き切ることで清潔になるんです」
『J』が出たことで母袋晃平は奥さんに怒られたそうですが、本が出たことを喜んでいるそうです。
世の中に忘れ去られたくないという思いを抱いていた寂聴先生も、もしかしたらあの世で、「やっぱり私を超える存在なんてどこにもいないのよ」と微笑んでいるかもしれません。