
結婚後のレスが進む要因の一つは、家族化といった関係変化がもたらすものである。ちなみにこうした問題は、日本らしい理由も強く関係していると言います。
「パートナーの家族化といった問題は、日本ならではとも言えます。そもそもレスを引き起こす要因として、日常的なスキンシップの量が関係しています。スキンシップが減ると、相手に触れる行為自体のハードルが上がり、その先にあるセックスへのハードルの高さにも繋がります。
日本と諸外国で決定的に違うのは、ハグや軽めのキスといった、日常的な愛撫の量だと言われています。性的ではない愛撫をすることで、自然と性的な愛撫に進みやすくなるわけです。実際クライアントさんに『スキンシップは取っていますか?』と聞くと、『手を繋ぐくらいはあるけど、キスは無い』と答える方が圧倒的に多いです」
では、スキンシップ量を意識的に増やすことで、ある程度セックスレスの解消が見込めるのかというと、「可能性はある」とのこと。
「性欲はある種、筋肉のようなものです。つまり、セックスは筋トレと同じ。性欲は加齢によって衰えると言いますが、習慣的なものによっても衰えていくと考えます」
まずは手を繋ぐこと。普段何気ないハグをしていくことなど、日常での触れ合いの見直しから始めるのは、一つ大切なことかもしれません。
性欲は筋肉と同じ。なんともさっぱりした考え方に個人的には驚きますが、一般的に、中年に向かっていくにつれ男性は性欲は下がり、女性は上がると言われています。
こうした情報と矛盾するように思うものの、それには理由があるそうです。
「確かに、生物的な性欲は加齢により下がっていくと言われています。男性であれば、年齢とともにテストステロンの数値が下がり、精子の数は減ります。それによって、射精への欲求は減るとされています。
女性は35~45歳ごろになると、女性ホルモンが減少し、相対的に男性ホルモンの働きが強くなっていくため、その結果性欲が上がると言われています。
しかしどちらも、加齢による身体的な変化に限定した話です。現実的な生活を見ると、男性は仕事が忙しく責任がのしかかっていたり、女性は育児や仕事の両立でヘトヘトになっていたりする方が多いです。心身ともに疲れていれば性欲は低下しますから、生物的な傾向を、そのまま当てはめるのは難しいと思います」