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さて、シーズン1では、吉宗が語り部となって進む構成が、長い原作のカットにもひと役買っていた。
シーズン2では、冒頭から胤篤・天璋院(福士蒼汰)と瀧山(古川雄大)が登場した。胤篤・天璋院は、13代将軍・家定(愛希れいか)の正室。大河ドラマの主人公にもなった篤姫のことだ。瀧山は大奥最後の総取締。史実では、相当の権力を握っていたとされる最後の御年寄である。
あまりにさらっと登場していたが、福士は、3代家光(堀田真由)編でお万の方を好演し、十分に泣かせてくれた。つまり二役目での登場だ。胤篤・天璋院は、瀧山がお万の方を思い起こした眉目秀麗な美男子であり、瀧山もお万の方に並び称された大奥総取締。
彼らは、大奥の象徴であるお万の方、さらに流水紋の裃を引き継ぎ、江戸幕府“まことの姿”を見届けるふたりなのである。
原作は年代順に進んでいくが、ドラマ版はそんな彼らを「幕末編」の語り部にした。初代御祐筆の村瀬正資(岡山天音)のナレーションが、シーズン1と2を静かに繋いでいるのもいい。
第12話予告編では、11話ではワンシーンながら、強烈な存在感を残した一橋治済を演じる仲間由紀恵のほか、松平定信役の安達祐実の姿も見えた。
人の心に効く“ありがとう”を印象づけた第11回。その薬を胸に、皆で協力しながら、「医療編」は、いよいよ赤面疱瘡との本格的な闘いに突入していく。
しかし、このあと、医療における難題のみならず、人の心を殺す猛毒と言える、“怪物”たる人物も動き出す。
<文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi