メイク担当のカズ・ヒロは、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2018年)、『スキャンダル』(2019年)で米アカデミー賞のメーキャップ&ヘアスタイリング賞を2度獲得。当初は辻一弘という日本名だったが、後にアメリカに帰化し、現在はカズ・ヒロの名前で活動している。
メイクアップアーティストとしてハリウッドで揺るぎない地位を確立したカズ・ヒロだが、今回担当したブラッドリーの特殊メイクを巡っては一部から批判も。これについては、「予想していないことでした。感情を害した人がいれば、申し訳ないです」と謝罪し、次のように語った。
「私とブラッドリーのゴールは、レニー(バーンスタイン)を出来る限り忠実に描くことでした。レニーは本当に象徴的なルックスの持ち主でしたし、写真映えするので、とても多くの写真が出回っています。非常に素晴らしい人で、とても多くの人々に良い影響をもたらしました」
「ですから、私達はそのルックス、そして人柄に敬意を示したかったのです」
『マエストロ:その音楽と愛と』の予告編が公開された後、バーンスタインを演じるブラッドリーが、鼻に特殊メイクを施していることで物議を醸すことに。ネット上では、「付け鼻で鼻を大きく見せることはユダヤ人の人種的偏見を助長する」「ユダヤ人ではない俳優にユダヤ人役を演じさせるべきではない」と非難の声が上がっていた。
こうしたなか、バーンスタインの3人の子供達が声明を発表。主演のブラッドリーを擁護するとともに、家族としての見解を明らかにした。
「彼の努力が誤解されているのを目にするのは非常に心が痛みます」
「レナード・バーンスタインが素敵な大きな鼻の持ち主だったことは真実です」
「ブラッドリーは、本人により似せるためにメイクアップを使いましたが、私達はそれを全く気にしていません。私達の父も気にしなかっただろうと確信しています」
また米最大のユダヤ人団体「名誉毀損防止同盟(ADL)」もコメントを発表。「歴史を通して、ユダヤ人はしばしば反ユダヤ主義的な映画やプロパガンダの中で、大きなわし鼻を持つ邪悪な風刺画として描かれてきました」としたうえで、「伝説の指揮者レナード・バーンスタインを描いた本作は、そうではありません」とブラッドリーを擁護した。
公私ともに注目を集めるブラッドリーが、脚本・監督・主演を務める映画『マエストロ:その音楽と愛と』は、12月20日からNetflixで配信。それに先駆け、12月8日から一部劇場で公開予定だ。
<文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>