松本人志が重要性を語った「演技力」とコント新時代。キングオブコントではドリフ的笑いに先祖帰りも?!
10月21日に放送された『お笑いの日2023』(TBS)内で行われた『キングオブコント2023』。芸歴20年のコンビ・サルゴリラが過去最高得点を叩き出し、16代目王者となりました。
出場数3036組の頂点に立ったサルゴリラは、ファーストステージで482点を叩き出し、ファイナルステージでも482点の高得点で、2位と点差を19点と大きく離した、まさに満場一致の優勝であります。
しかしながら、構成作家の大輪貴史(おおわ たかふみ)さんは<確かに得点は開いたけれど、実際は数字よりも団子状態の混戦で、誰が優勝してもおかしくない大会だった>と語ります。
大輪さんはかつてピン芸人「大輪教授」として活動し、2007年にはR-1ファイナリストに選出。現在はお笑い養成所の講師や、複数のお笑い事務所による若手芸人のネタ見せもつとめています。今大会の傾向、サルゴリラの勝因、さらに今後のキングオブコントの戦い方についても考察してもらいました。
カゲヤマ・ニッポンの社長のアイデア勝負が放ったインパクト
――今大会の大きな特徴として、出番順一番目のカゲヤマと二番目のニッポンの社長がファイナルステージまで勝ち上がったことが挙げられます。 サルゴリラが出るまでは、三番目の出番だったや団含め、上位をトップ出番たちで独占するのは、珍しい事態だったのではないでしょうか。 <今回、スタートの段階から会場の空気が暖かかったように感じました。恐らくこれは大会を『お笑いの日』にくっつけたので、前フリのオープニングが短くても笑いやすい空気にはなっていたんですよ。「一組目はこの人です!」で、すぐにネタに運べたのではないかと思います。 ただ、そうした背景があってもカゲヤマの一本目がその後に大きく影響をもたらしたことは確かです。カゲヤマこそがMVPといってもいいかもしれません。 ポイントはバカバカしさ。松本人志さんが「ロッチの試着室のネタの進化形」と言っていましたが、私もあのネタを想起しました。細かいところよりパワーやサービス精神が重視されています。ふすまを開けたら何かがある…、ドリフでもあったであろう笑いですが、改めてふすまってすげぇなと(笑)。何が何でも笑いを取ってやろうという泥臭さがありましたよね>(大輪貴史さん 以下山カッコ内は同じ)恐怖の1、2番 pic.twitter.com/qkXNP0NS6I
— ニッポンの社長 辻 (@tsujiclassic) October 21, 2023
――続くニッポンの社長もカゲヤマと一点差の高得点でそのままファイナル進出を果たしました。 <この点差は本当にちょっとしたことの差だとは思うので、何とも言えないところではありますね。ニッポンの社長はワンアイデアで1本駆け抜けられる演出力と演技力が凄かった。あれって1つめのボケがウケなかったら一巻の終わりですから。度胸がありますよ。 カゲヤマとニッポンの社長に共通していたのは、ワクワク感の強いアイデア勝負だったところ。出順三番目のや団は、演技力も自分たちにどんなネタが合うのかをちゃんと理解しているキャスティング力の高さも素晴らしかったのですが、ストーリーがあった分だけそこが隙間(すきま)に見えてしまったのではないでしょうか。 結局この後の人たちも最初の二組のインパクトをぶち抜けなくて、サルゴリラがそこをさらっていったような印象を受けました>キングオブコント改めてテレビで見ました!
— カゲヤマ 益田康平(あむあむWORLDすたみな) (@massan26) October 23, 2023
おしりめっちゃキレイに仕上がってて嬉しいです!
週4ぐらいでスーパー銭湯行って塩サウナしたかいがありました♨️
あと後輩芸人のみんな
なんかミスしたら言ってくれ
おれが代わりに謝ってくる#キングオブコント2023#カゲヤマ pic.twitter.com/Sst22DHi01
松本人志が重要性を指摘したコントでの「演技力」とは?
――松本人志さんが2022年のキングオブコントの総評で「コントは面白いのは当然として、演技力がないとこれからは上がっていけない」と語っていたと思いますが、そこについてはどう思われましたか? <その通りになってきたな、と思いますよ。コントというのはアイデアと演技力の世界ですが、ネタのレベルが高くなっている今は演技が苦手な人は苦労しているでしょうね。 でも、コントにおける演技力って、演技で面白いことをするというよりも、“ボケていない時間に笑いの温度をどれだけ下げずにキープできるか”ってことなんです。 芸人に俳優さんみたいな演技力はいらないんですよ。たった一つでもいいから、自分に似合う役が上手ければコントは面白くなるんです>