たとえ愛する人と結婚できたとしても、幸せは永遠ではありません。どこまでいっても不安はつきもの。そもそも不安が生まれるのは、自分の幸せがわかっていないからではないでしょうか。世間一般の幸せではなく、自分がカスタマイズする、たったひとつの幸せです。
福々さんは、具体的な不安要素をノートに書き留めるとともに、お金の勉強に着手しました。漠然(ばくぜん)としたモヤモヤを形にして、ひとつずつ塗りつぶしていったのです。そしてさらなる気づきがやってきます。自分の人生が「お金のかかる人生じゃない」ということに。
“年に1回は海外旅行をしたい”、“車は絶対に外国車”、“将来は郊外に一軒家を建てる”、etc.。人にはそれぞれ願望があって、心の感度も違います。
「ああ、幸せ!」と歓喜する瞬間が、高級エステを受けた時の人もいれば、挽(ひ)き立てのコーヒーをお気に入りのカップで飲んだ時という人もいます。「贅沢(ぜいたく)に興味なし」な福々さんの不安材料は、こうして減っていきました。
お金はもちろん大切ですが、もっと大切なのは、自分の人生をどうクリエイトしていくかという点。お金や婚活に翻弄された福々さんが、「どう生きたい?」と自問自答した先に、神様はとっておきの縁を用意していました。
会社員もフリーランスも、結婚してもしなくても、人生に不安は付きもの。あなたはどう生きたいですか。あなただけの幸せは何でしょうか。不安も、幸せも、生み出すのはあなた自身だということを、本書はおしえてくれるのです。
<文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『
主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『
母親病』(新潮社)、『
神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。
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