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36歳になった“ゆとり第1世代”は今。上からも下からも圧をかけられるツラさ|映画『ゆとりですがなにか』

変わりゆく変わらないもの

 作品サブタイトルに「インターナショナル」とある通り、彼らの周囲では国際化が加速する。  正和が勤めていたみんみんコーポレーションが韓国企業に買収され、本国から派遣されてきた鉄人のような上司チェ・シネ(木南晴夏)が抑圧的な改革を断行する。今は会社を辞め、家業の酒造で営業部長になった正和は、契約打ち切りに直面する。 「これだからゆとりは」というあのフレーズは、チェによる韓国語に替わる。意味もわからずに正和は土下座をする。昭和精神丸出しの土下座が、この令和に意外と効果的なのは興味深い。時代が変わっても、ゆとり世代の精神までは変わらないということだろうか。  本作は、坂間夫婦の不倫騒動からクライマックスになだれ込む。騒動の末、に絞り粕のように抽出されるゆとり精神が、150年切り盛りされてきた坂間酒造の歴史を継承する。  時代の変化に合わせてバージョンアップしながらも、ゆとり三銃士たちは変わりゆく変わらないものとして歳を重ねるのだろう。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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