未成年のうちは、絶対にふたりきりでは会わないようにしていた
そもそも奥森とは番組担当の曜日が違っていたので、たまにしか会っていなかった。ただ、彼女はお笑いが大好き、ラジオが大好きという変わった10代で、そののめり込み方は半端(はんぱ)ではなかった。
岩井に会うたび、「ラジオ聞いてます。こういうところがおもしろかった」と声をかけてくれていた。「伊集院(光)さんのラジオも大好きだと言っていた。下ネタばかりのラジオで、この子、大丈夫かなと思ったことがある」と岩井は苦笑しながら言っていた。
つまり、「若い女性はこういうもの」と人が想像するようなタイプではないようだ。「賢くて、とんでもなくしっかりしている」と岩井が言うと、相方の澤部佑も「語彙(ごい)が豊富。10代とは思えない」と太鼓判(たいこばん)を押した。

(画像:TBSラジオ『ハライチのターン』公式サイトより)
彼女が高校生になったころから、たまに同番組で彼女と同じ曜日を担当していたサンシャイン池崎と3人で、なんどか食事にいったことはある。帰りは池崎とふたりで彼女を家まで送っていくのが常だった。だが岩井は、彼女からの好意をなんとなく感じていたようではある。
「だけど未成年のうちは、絶対にふたりきりでは会わないと彼女にもいっていた」そうだ。その後、しばらく会わない時期が続き、あるとき彼女から連絡があった。「成人になりました」と。「成人になったら、ふたりで会ってくれるっていってましたよね」と言われ、岩井は少しだけ困惑したらしい。
「僕は未成年とふたりでは会わないと言っただけなのに、彼女は成人になればふたりで会えるんだと思っていた。まあ、でも確かにそうも受け取れるし、自分が言ったことだからとふたりきりで初めて会った」
そのときに彼女といろいろ話して、趣味が共通していることに気づいた。しかも彼女の言葉のセンスや話の内容に年齢差を感じなかったという。
そして今年の初めにつきあおうということになり、彼女の両親に「つきあうことを報告にいった」のだそう。すると両親は「もう彼女は成人だから、本人がよければいい」と言った。そして両親とすっかり仲良くなったのだという。
つきあいは順調に続いたが、この夏、彼女とちょっとした見解の相違があった。今まで岩井は、「自分を好きでいてくれる人」が好きだった。彼女にしてみると、対等に向き合ってくれていないと感じていたようだ。
そう言われて、年齢差を気にして「保身」を考えていたことに気づかされたと岩井は言う。
そして、もし彼女が自分を好きでいてくれなくなっても、自分は彼女が好きだとも気づいた。今まで年上としかつきあったことがなく、結婚のデメリットにばかり目がいき、一生独身でいいと思っていた岩井が、そこで初めて、年下の彼女をひとりの人間として、ひとりの女性として意識したようだ。