篠原涼子が語った離婚後の“家族の形”が炎上「子育て放棄」「年上夫を捨てて若い男に走っただけでは」叩くのはうらやましいから?
<亀山早苗の恋愛時評>
次々と報道される有名人の結婚離婚。その背景にある心理や世相とは? 夫婦関係を長年取材し『夫の不倫がどうしても許せない女たち』(朝日新聞出版)など著書多数の亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)
先日、50歳になった篠原涼子のインタビュー(「美ST」10月号掲載『篠原涼子さん(50歳)離婚後の新しい家族の形「子供のお弁当はパパ担当ですが、たまに私が作ることも」』)をめぐってネットで逆風が吹き荒れている。
篠原涼子といえば、アイドルグループの一員からバラドル、ソロ歌手、そして女優へと華麗に脱皮を繰り返して大きくなったイメージがある。ひたむきに努力を重ねてきたのだろう。
2005年、32歳のときに25歳年上の俳優・市村正親と結婚。15歳と11歳の男の子の母でもある。だが市村とは21年に離婚。親権は市村がもっている。
現在も毎日のように自宅に戻って子どもたちと接していると語った。結果的に子どもがいながら自分の人生を選んだ形になったことは、彼女もじゅぶんに承知している。
「この形を続けられるのは彼が寛大に受け止めてくれているから」だと元夫に感謝の念を表明した。デビュー後、ひたすら仕事に邁進してきて、結婚もして子どもも得たものの、45歳のときにふと不安にかられたのだという。
「大好きな女優の仕事を続けさせてもらうためにも、母・妻として完璧にこなさないとダメだと勝手に思い込んでいて、できていない自分に自己嫌悪。結果、心身ともに疲れ果て、何もできなくなっていた時期がありました」
この言葉は重い。女性が仕事を続けていく上で、パートナーも納得しているのに、自分で自分を縛ってしまうのは、彼女だけが陥る危機ではない。
これが男性なら、「仕事を続けさせてもらう」という発想じたいがあり得ない。女性だからこそ、世間も、そして自分自身もそう感じてしまうのだ。
離婚については、彼女に別の男性の存在が噂されたこともある。それが世間の記憶に残っているのか、今回の彼女のインタビューには手厳しいコメントが目立った。
「年上夫を捨てて若い男に走っただけではないか」
「子育てのいいとこ取りをしているだけ」
「責任逃れ」
などなど見ているだけで胸が痛むほどだ。
逆に考えて、もし親権は母にあり、元夫がたびたび訪ねてきて子どもと接していたなら「おとうさんとしての責任は果たしていて偉(えら)い」となりかねない。
「大変な家事育児を夫に押しつけて」と憤慨(ふんがい)している人もいるが、そもそも俳優夫婦なのだから、家事は外注しているかもしれないし、一般家庭と比べることに意味があるのだろうか。