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NHK『大奥』、福士蒼汰“胤篤”と“有功”は似て非なる人物。二役っぷりが圧巻

男女逆転のパラレルワールドでも、すでに男子が女子をバカにする世に

大奥(C)NHK

大奥(C)NHK

しかし正弘の身体は病魔に蝕まれ、翼を折られてしまった。さらに、このパラレルワールドも、すでに男子が政治を動かす世になっていた。 そもそも3代家光(堀田真由)が女将軍として世の上に立ったのは、あくまでも赤面疱瘡という奇病によるもの。急場しのぎだった。その後も男子の数が回復しなかったために、女将軍が続いてきたにすぎない。 そしてすでに、井伊直弼(津田健次郎)が「この国難を、なよなよと女のやり方で乗り切るのは無理じゃ」と吐き捨て、一橋慶喜(大東駿介)が家定の目前で“女”をバカにする世になっている。

阿部正弘を演じた瀧内公美の熱演に涙

正弘と家定の最後の場面は涙無くして見られなかった。家定には、胤篤と夫婦として幸せになってもらいたいところだが……。それにしても、阿部正弘を演じた瀧内の存在感は素晴らしかった。これまでに映画『火口のふたり』『由宇子の天秤』などで高く評価されてきた瀧内。ドラマでは今年1月クールに放送された『リバーサルオーケストラ』での好演も記憶に新しいところだ。 落ち着いた大人の女性のイメージが強く、若き阿部正弘として登場した際には、その高い声色や、笑うと三日月のようになる瞳からして、これまでの印象とは全くの別人で本当に驚いた。そして、最後の場面では、正弘の人生、思いを丸ごと感じさせてくれた。来年の大河ドラマ『光る君へ』では源明子役を演じると発表されており、今から楽しみだ。 さて、21日放送の第18話では、通商条約の調印を進めていた堀田の失態と正弘の死が重なり、家定が倒れてしまう。そして開国派と攘夷派の溝が深まるなか、井伊が大老に就任。徳川の世はさらに混迷していく。 <文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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