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『大奥』悲恋が200年を超えついに!原作漫画家にノーベル平和賞を贈るべき理由

SF仕立てで男女平等を実現させる物語であり壮大なラブストーリー

性差を認識しながら、さらに細分化された、個別の差異にまで思いを馳せ、よりよい世界を作っていく。その思いの成就が、胤篤と家定の思いの成就と重なる。ふたりが懐中時計をひとつずつ持ち、肩寄せ合う後ろ姿に、ホタルが舞う様はこのうえなく美しい。 壮大な哲学的な人間ドラマであり、同時に、結ばれることなく終わった有功(福士蒼汰二役)と家光の悲恋が、200年もの時のなかで、何度も何度も生まれ変わりながら、ようやくもう一度出会って結ばれる壮大なラブストーリーでもある。SF仕立てによって、男女平等の理想を実現させる物語を描きながら、その実、時を超えたラブストーリーだったという、見事すぎる構成。だからこそ、ノーベル平和賞を、と思うのだ。
物語はまだ終わらない。胤篤は天祥院(てんしょういん)となり、家定の想いを背負って14代将軍・家茂(志田彩良)を守る道を選ぶ。そして、目指すは公武合体。家茂は天皇家の和宮(岸井ゆきの)と婚姻する。ところが和宮が女性だったという、ここでまた男女逆転が起こる。 岸井ゆきのが原作にそっくり寄せてきていて、盛り上げた。原作の、元・陰間(かげま)・瀧山(古川雄大)による女性だった和宮への扱いのエピソードが好きなのでドラマではどう描かれるか第19回が楽しみである。

福士蒼汰、重要な役割に健闘

大奥(C)NHK

大奥(C)NHK

『大奥』の象徴である有功と彼に似た胤篤を演じる福士蒼汰が重要な役割に健闘している。 有功は、颯爽(さっそう)としたモテ男子キャラだったが、胤篤は男性ながらときどき、篤姫みたいな感じもあって、家定のほうがしっかりしているように見えることがある。時代の流れで、男と女のありかたが、役割によって変化してきたのかなという印象だ。
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古川雄大は優雅さと強さを兼ね備え
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