私が今心配しているのは、老後の資金のこと。雑誌やテレビで「老後資金に2000万円必要」「将来、年金はもらえなくなる」なんて目にしては、お先真っ暗のような気になって……。
でもこんなときは、不安に向き合うためにまず情報収集。総務省のホームページで見られる「高齢ひとり暮らし世帯の支出」を参考に、自分の場合だと月にいくら必要か試算してみることに。

出典:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」より
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◎高齢ひとり暮らし世帯の支出
住居 約1.3万円
食料 約3.6万円
教育娯楽 約1.2万円
水道光熱費 約1.3万円
保険医療 約0.8万円
交通・通信 約1.2万円
被服及び履物 約0.3万円
家具・家事用品 約0.5万円
その他 約2.9万円
(うち交際費約1.5万円)
出典:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」より
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「老後2000万円必要」の根拠ともなるこの統計。でも、平均値なので住居費が約1.3万円と激安だったり、「その他」の詳細が不明だったり、自分の場合に当てはめにくいので、自分流にアレンジが必要です。

食料、住居、水道光熱費をこれまでの家計簿から予算立て
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◎私の場合だと……
住居 2万円
食料 2.5万円
教育娯楽 2.5万円
水道光熱費 1.1万円
保険医療 0.8万円
交通・通信 1.5万円
被服及び履物 0.6万円
家具・家事用品 教育娯楽費に含む
その他 約1万円
食料、住居、水道光熱費をこれまでの家計簿から予算立て
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食費は自炊派だからこんなにかからないとか、住居費はもう少しかかるとか。楽しむこと、学ぶことは生きがいにつながるから教養娯楽はしっかり確保、その分「その他」は余剰金扱いにして少なめに設定。結果、月12万円もあれば慎ましくも私らしい暮らしができそうだと思えるようになり、老後の生活が具体的に見えてきました。
老後の支出が月12万円とわかったら、次に将来受け取れる年金額を試算。私の場合は、10万円程度だから2万円ほど足りません。女性の平均寿命は約87歳。年金受給開始年齢の65歳から22年生きると考えると、老後の赤字額は合計528万円に。もっと生きる可能性と住居の修繕費や介護費、医療費、旅行代なども考慮すると、最低でも1000万あればなんとかなりそうです。

年1回送られてくる「ねんきん定期便」に記載された二次元コードを読み取ると、「公的年金シミュレーター」というサイトに飛び、簡単に将来の年金額がわかります。
「老後資金は2000万円必要」と巷のうわさを鵜呑みにしていたころより、ぐっとやる気が出てきました。「一般論」より「私の場合」で考えた方が具体的で、モチベーションもアップします。
『
54歳おひとりさま。古い団地で見つけた私らしい暮らし』では、団地での月12万円生活の工夫をさらに詳しく紹介しています。老後の不安やおひとりさまの不安を解消するためのお金の備え方や、困りごとや気持ちを整理する「じぶん会議」のやり方、介護士だからこそ分かった高齢の親との付き合い方なども収録。これからの暮らしを豊かにするためのヒントが詰まった一冊です。
<構成/女子SPA!編集部>
きんの
1969年生まれ。49歳の時、80代の母の介護をきっかけに都内の新築で購入したマンションから築50年越えの団地に引っ越し、母の介護をしながら自身も少し早めの老い支度を開始する。2020年、51歳で開設したブログ「
団地日記」で、団地の魅力や年金暮らしを想定した月12万円生活、節約アイデア、時短家事や料理、趣味のことなど、日々自分と向き合いつつ、50代の今を楽しく快適にするための工夫を発信。37歳で離婚を経験。50歳で転職を決意し介護専門学校に入学、介護福祉士の資格を取得して52歳で正社員として介護の仕事に就く。現在は、同じ団地で別居する母親の介護、更年期障害、ストレスと闘いつつも地味で豊かな50代おひとり様生活を満喫している。