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かわいいから犯行に及んだ…小児性犯罪者が語る「かわいい」に潜む“身勝手な欲求”

 子ども、動物、キャラクター、芸能人……私たちが日々、なにげなく使っている「かわいい」という言葉。
登下校中のランドセルを背負った小学生の少年

※イメージです(以下、同じ)

 しかしこれが小児性犯罪の文脈で用いられると、かなり事情が変わってくると、精神保健福祉士・社会福祉士として長年、性加害者の治療に取り組む斉藤章佳さんは語ります。  小児性犯罪者が語る「かわいい」の真の意味とはいったいどのようなものなのでしょうか。  ここからは、斉藤さんの著書『子どもへの性加害 性的グルーミングとは何か』(幻冬舎新書)より一部抜粋し、グルーミングの手口を紹介していきます。

加害者が用いる「かわいい」という言葉

 小児性犯罪者は、よく「かわいい」という言葉を用います。 「かわいくて仕方なかった」 「子どもは見ているだけでかわいい存在なんです」 「傷つけちゃいけないかわいい存在だから大切に扱いました」  治療の現場で私が小児性犯罪者に「子どものことをどう見てるのか?」と尋ねると、彼らは異口同音にこのように答えるのです。  ここでは、この「かわいい」という言葉から、彼らの頭の中を考察していきたいと思います。

平安時代から使われている「かわいい」という言葉

 日本では、「かわいい」という言葉が古くから使われてきました(*1)。  平安時代に清少納言が書いた『枕草子』における「うつくしきもの。瓜に描きたるちごの顔(かわいらしいもの。瓜に描いた幼い子どもの顔)」という記述が「かわいい」の源流ともいわれ、日本人には小さくてかわいいもの、人、動物を愛おしく思ってきた文化的背景があります。  また、いまや日本語の「かわいい(kawaii)」はsushiやmangaと並んで世界中で使われています。日本のポップカルチャーは“Kawaii Culture”などと称され、カラフルなカフェや服、人気のアニメキャラクターなどを求める海外からの観光客も大勢います。  2009年には、外務省も日本のポップカルチャーを海外に発信するべく、3名の女性を「ポップカルチャー発信使(通称:カワイイ大使)」と命名し、国を挙げて「かわいい」を日本の文化産業として世界に広めていこうとした経緯もあります(*2)。
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「かわいいから犯行に及んだ」加害者の頭の中
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