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トイレの個室に誘い込み、小学生の陰部を触っていた…「あえて男児を選ぶ」性犯罪者の卑劣なワケ

「お兄ちゃん、ひとりでトイレ行ってきて」
商業施設の公衆トイレ 

※イメージです(以下、同じ)

 家族で買い物に出かけた際、そんな声がけをして子どもをトイレに行かせることは珍しくない光景です。しかし、実はトイレには思わぬリスクが潜んでいることもあるのだとか。  ここからは、精神保健福祉士・社会福祉士として長年、依存症の治療に取り組む斉藤章佳さんの著書『子どもへの性加害 性的グルーミングとは何か』(幻冬舎新書)より一部抜粋し、グルーミングの手口を紹介していきます。

事例:ショッピングモールのトイレにひとりで入った男児に…

 会社員のE(30代男性)は、休日になると決まって大型ショッピングモールのトイレを訪れていた。そこでEは、ひとりでトイレに入ってくる小学校低学年の男児に自らのスマホ画面を見せ、個室に誘い込み、男児の陰部を触っていたという。  行為は数分に及び、最後には「僕たちだけの秘密だよ」「お母さんに言うと、悲しむよね」「学校にバレたらまずいよね」と口止めをしていた。ときに男児のズボンを下ろした状態をスマホのカメラで撮影していたこともあった。  しかしある日、トイレの個室に連れ込んだ男児が大声を出したことで加害行為が発覚、その場でEは現行犯逮捕された。さらにほかの男児への性加害や盗撮や痴漢行為が発覚し、Eは起訴され、裁判では実刑判決を受けた。現在もEは刑務所で受刑している。  グルーミングはSNSなどのオンライン上や顔見知りによって行われるものではありません。性加害者の中には、初対面の子どもを手なずける者もいます。  面識がない間柄でもグルーミングは行われ、「ゲームアプリで一緒に遊ぼう」と誘ったり、「背中に虫がついてるよ」「あ、服の中に入っていっちゃった」と言いながら洋服の中に手を入れる……というケースもあります。ごく短時間で加害行為を終わらせるため、かなりの「高等テクニック」といえます。

加害者は“あやしい”ではない

丸太の上を歩く子供の足 なぜ、子どもは初めて会った大人についていってしまうのでしょうか。  まず加害者には、世間でイメージされるような“性犯罪者らしい雰囲気”がないことが大きな特徴です。身なりも清潔で、ニコニコしたやさしそうな出で立ちのために、街の風景に馴染んでいます。  黒いサングラスにマスク、深くかぶった帽子にロングコート……といった明らかにあやしい格好の加害者はいません。そのため子どもも警戒心が緩み、声をかけられると思わず口をきいてしまうのです。  そして加害者は、逮捕されやすい場所では絶対に加害行為に及びません。死角になりやすい、人目につかない環境をリサーチして、そこで犯行を重ねるのです。  具体的には、商業施設のバリアフリートイレや公園のトイレです。映画館のトイレもとても広いので、奥の個室におびき出した、ということを加害者からヒアリングしたこともあります。トイレ内には防犯カメラはないので、彼らにとっては「やりたい放題」なわけです。
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ゲームアプリで誘い出す……巧妙な手口
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