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友達が異性と二人でいたら、何と声をかける?無邪気な質問が「暴力」になることも

人間は、理由探しとパターン分けが大好き

 ゆくえと美鳥の会話を聞いていると、いかに人間が理由を求めることが好きなのかが伺える。その理由探しが純粋な興味関心であれば咎めることではない。しかし、自分自身ではなく他者にそのベクトルが向いた理由探しは、ゆくえが遭遇したクラスメイト然り、往々にして自分がよく知っているパターンに強引に当てはめるための作業でしかない。  人間は知らないものに対して恐怖や違和感を覚えやすく、本人がその理由を懇切丁寧に説明したとしても、自分のデータベースに該当しなければ平気で歪めようとする『いちばんすきな花』 仮にそのクラスメイトがゆくえ、もしくは赤田を好きだったのであれば、ギリギリ恋愛関係なのかどうかを聞いたことは致し方ない。そうではなく、自分自身の理由探しのために次々と質問を浴びせたのであれば、やはり“暴力”である。  とはいえ、クラスメイト同様に自分自身も無意識のうちに頻繁に理由探しをしているはず。だからこそ、「もっと他人に無関心に生きられたらいいのにね」と美鳥の言った通り、「我関せず」である意味自己中心的に生きていきたい。勝手な理由付けで他者を傷つけるほうがよほど自己中心的に感じるので。

無関心が最大限の優しさになることも

 「もっと他人に無関心に生きられたらいいのにね」という発言はゆくえの高校時代、つまりは約15年前のものと思われる。ただ、この言葉は今の時代にこそ刻んでおきたい言葉かもしれない。 『いちばんすきな花』 ハラスメントに対する意識の高まりに加え、多様性が叫ばれるようになって久しく、他人に対する配慮・理解を強く求められるようになった昨今。しかし、マイノリティであろうがなかろうが、他人の配慮が本人にとってありがたいケースはそう多くない。むしろその配慮によってイライラさせられることも少なくなく、「放っておいてほしい」と思いたくなることもしばしば。  配慮ばかりではなく、配慮の対極にある無関心も時には生きやすさにつながるのではないか。実際、“男女の友情”という比較的マイノリティな関係を持つゆくえに対して、配慮ではなく無関心を向けられていれば悩むことは一切なかったように思う。無関心は一見残酷ではあるが、場合によっては最大限の優しさになることもあるのかもしれない。  12月に入り、残りの話は数えるほどになった。ラストに向かってどのような展開を見せるのか期待したい。 【Amazonでも好評発売中!】⇒『いちばんすきな花 シナリオブック 完全版(上)』の詳細はこちら <文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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