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藤原紀香&片岡愛之助「家に泥棒が多い」はプロの夫婦芸。色物ギリギリを攻める戦略に見る“覚悟”

愛之助、ルパンのセリフ回しを完コピ。水もしたたるいい男

愛之助はアニメのルパンのセリフ回しを完コピしていて、これが歌舞伎特有の粘(ねば)りのある台詞回しとも相性がよかった。 テレビドラマで片岡愛之助を知っている人は、日曜劇場『半沢直樹』の「金融庁!」という独特の金切り声の、オネエみたいなキャラを演じていたことが鮮烈に印象にあるかもしれない。が、舞台のうえの愛之助は男の色気が溢れ、かっこいいのである。 飄々(ひょうひょう)と軽やかで、決めるところは決める。本水が滝のように流れる中での松也との一騎打ちではまさに水もしたたるいい男であった。ルパン三世が当たり役、と言われたら、歌舞伎役者としては嬉しいかどうかはわからないが、とっても良かったのである。12月25日で千穐楽(せんしゅうらく)だが、シリーズ化希望。

結婚するとき、紀香に俳優を続けるように言った愛之助

さて、千穐楽を終えると、休む間もなく、12月27日から1月2日までは御園座で『西遊記』(堤幸彦演出)に出演する(大晦日と元日にも上演)。ここでの愛之助は孫悟空役で、宙乗りもして大活躍である。そして紀香が、『西遊記』に釈迦如来(しゃかにょらい)役で映像出演しているのだ。
12月20日に放送された『1周回って知らない話』(日本テレビ系)では、紀香が地味でなく派手でない絶妙なお着物姿で、愛之助の劇場で粛々(しゅくしゅく)と立ち働く姿が紹介された。これを見ると「夫唱婦随(ふしょうふずい)」という印象も受けるが、決してそういう旧時代的ではなく、男女対等な「比翼連理(ひよくれんり 夫婦仲の深くむつまじいこと)」という言葉のほうが彼らにはふさわしいだろう。 自分の仕事(キャッツアイとか)やりながら、夫の仕事の裏方もやる紀香。愛之助はそんな紀香と、7年前に結婚するとき、俳優を続けるように言ったのだと『1周回って知らない話』で語っていた。
当時、結婚が発表されたとき、誰もがふたりに好意的というふうではなかったように記憶するが、長い時間をかけて、好感度を高めていったふたり。 今や、彼らの活動が気になってならない。それもステキな夫婦生活への興味よりは、ふたりでどんな面白い役をやるかということのほうに興味が沸く。エンターテナーとしてこれほど理想的なことはないだろう。 <文/木俣冬>
木俣冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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