NHK大河『光る君へ』、“鬼”と呼ばれた吉田羊“詮子”の熱演が見事!もどかしすぎる恋模様からも目が離せない
見習いたい、倫子のコミュニケーション能力
「身分はとかく難しいもの」と宣孝にぼやいていたまひろ。貴族と民があり、貴族の中にも格がある。その身分があるからこそ、諍いも争いも起こらずに済む、と宣孝は説く。それがなくなれば万民は競い合い、世は乱れる。なるほど、そういう考え方もあるのか……となんともいい難い気分に。
「身分など……」というまひろの思いは倫子らとの女子会でもこぼれてしまう。「竹取物語」でどうしてかぐや姫が五人の公達に無理難題を突き付けたのか、という問いに、「やんごとない人々への怒りや蔑みがあったのではないかと思います」「身分の高い低いなどなにほどのこと、というかぐや姫の考えは颯爽としている」と答えるまひろ。
「いやいやいや、ここには身分が高い姫しかおらんのだが?」と思いながらも、画面越しでも場の空気がピシッと凍ったのが伝わってきた。
すると「自分の父が左大臣で身分が高いことを忘れていないか」と言って場の緊張感を高める倫子。それからほかの戯言だからそんなふうに黙らないでくださいと微笑む。ここでようやくまひろはまずいことを言ったと気がつく。
倫子は空気を読むことにも長けていて、助け船を出すのもうまい。コミュニケーション強者だな、というのが分かる。
しかし、本当は何を考えているのかが分からない。腹の底が見えないというか。
「五節の舞」に出るように言われたときに、女好きの花山天皇の見初められたくないからときっぱりと嫌だと言い、その役目をまひろに頼むのも強い。
まひろはまひろで頼まれたら喜んで引き受けてしまうし……。倫子に興味があると言っていたけれど、きっと倫子と友人になりたいという思いもあるのだろうな、と感じてかわいくて、切ない。
ついに「見つけた」
そして、その「五節の舞」で決定的な瞬間が訪れる。
ここにはもちろん、藤原家の三兄弟も出席していた。道長の姿を見つけ、どうしてここにいるのか混乱する。さらにその隣には、母の仇である道兼(玉置玲央)の姿が。
そんな混乱の中でも踊り切れることに感嘆してしまうが、舞のあとにまひろは共に踊った姫たちからついに真実を知ることになる。自分が三郎と呼んでいた人物は右大臣家の三男で、道兼はその兄なのだと。
その場で気を失うまひろ。
あまりの衝撃に心が耐えきれなかったのかもしれない。
ついに真実を見つけた。
しかし、その真実はまひろを苦しめることになる……。
<文/ふくだりょうこ>
ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ
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