さて、宣孝がまひろの行動をやんわりと注意をするのにも理由がある。

円融天皇(坂東巳之助)の譲位、師貞親王(本郷奏多)が次の天皇に即位する日が決まった。これにより師貞親王の漢文の指南役を長年務めていた為時も官職を得ることができるのだ。迷惑をかけるわけにはいかない。
さらに、この譲位と即位によって、詮子(吉田羊)の子・懐仁親王が東宮になることも決定。藤原兼家もご満悦で、息子たちと宴を催す。

一方、詮子は内裏を訪れていた。退位した円融天皇に挨拶をするためだ。詮子にとって、円融天皇は愛する人。難しいとはわかっていても、また仲睦まじく過ごせる日を夢見ていたに違いない。
しかし、円融天皇の言葉は辛らつなものだった。「毒を盛ったのはお前と兼家か」と問い詰める。「生涯許さない、二度と顔を見せるな」とも。さらに、檜扇を投げつける。檜扇が詮子の顔をかすめ、傷がつく。もちろん、円融天皇は謝りなどしない。
「人のごとく血なぞ流すでない! 鬼めが」愛する人に距離をおかれただけではなく、疎まれ、しまいには鬼とののしられる。こんなにも悲しいことがあるだろうか。期待、悲しみと絶望、怒り――。数分の間に表情に込められた感情の変化が凄まじい。
詮子は、そのまま兼家と三兄弟が宴をしている席に乗り込むが、怒りを爆発させたとて、何かが変わるわけではない。三兄弟も味方はしてくれない。何とも不憫な……詮子のおかげで地位を確固たるものにしたくせに、と思わずにはいられない。
長男・道隆(井浦新)も父を責めるわけでもなく、これからも支えることを誓うのみ。偉くなるのがそんなに良いことなのかと思うが……。