
『ドライブ・マイ・カー』Blu-ray(TCエンタテインメント)
このダサキャラが紛れもないはまり役だったし、世代的な親しみやすさは、明らかにまー君呼び適用範囲。『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017年)のツッパリ兄貴役もこの範囲に含め、これで第3期は呼び名復活かなと思いきや、芦田愛菜主演の『星の子』(2020年)で、芦田を前に困惑と無言の好演を響かせてくる。
あれ、まー君、やっぱ違うの? みたいに狐につままれたこの感じ。さらにダブルパンチ。濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』(2021年)で演じた人気俳優役の潜在的な暴力性は、まるでヴァンパイアのようで、血の気が引く、寒々しい怪演だった。
この役を引っ提げて、日本映画初のアカデミー賞作品賞ノミニーとなった同作の授賞式レッドカーペットでは、世界が岡田の存在を発見したかのように、カメラのフラッシュがパシャパシャ。あれよあれよという間に世界の人に。やっぱ狐につままれてる……。
こうなれば、もうふざけた呼び方はできなと筆者は深く思ったのだけれど、どっこい、日本に戻れば、『天然コケッコー』の山下敦弘監督との再タッグ作『1秒先の彼』(2023年)や『ゆとりですがなにか』の劇場版『ゆとりですがなにか インターナショナル』(2023年)がさらりと公開されてしまう。
ダブルのダサキャラが飛び道具となる。すさまじい荒業俳優っぷり。もうこの際、一度すべての出演作品をリセットさせてもらう。その上で、改めてもう一度、岡田将生をまっさらな気持ちで見つめてみると……。
画面中央で驚異の動きで身体をふるわせる。くねくね、くねくねする岡田。あぁ、まただよ。もう嫌だ。マクドナルドのCMひとくちチュロス「なめらかになった」編で、くねくねダンスを披露する岡田には、もう大人しく白旗を降るより他ない。