ナイツ・塙宣之が忘れられない“大師匠の言葉”「ああ、生きてく上で大事なことだなと」
2023年、漫才協会会長に就任したナイツ・塙宣之さんが、その漫才協会に所属する芸人たちの悲喜こもごもを追ったドキュメンタリー映画、『漫才協会 THE MOVIE ~舞台の上の懲りない面々~』を監督。初メガホンを握り、リアルな笑いの今を映し出しました。
東京は浅草・東洋館の舞台に思いを懸ける芸人たちと漫才協会の“今”を捉えたドキュメンタリーですが、そこには塙さんのお笑いや芸人たちに対する深く熱い想いと、人生を懸命に生きるすべての人たちへのメッセージも込められています。塙さんに聞きました。
――今回の作品は漫才師の数だけ人生があり、業界の人間じゃなくとも感情移入するシーンもありましたが、監督した塙さんは特に胸が熱くなる瞬間もあったのではないですか?
塙宣之(以下、塙):ちょっと熱くなりましたね。やっぱり漫才師は、挑戦して失敗して苦しまないといけないんですよね。生きていく上ではつらいこと、苦しいこと失敗の連続で、それがない人生なんかないわけですから。それがないって、何もしていないわけですよね。どんな人でも人生は進むと波風が立つようになっているわけです。
その時に必要なものが笑いです。笑いはそれを乗り越えていくために人類が生み出した知恵であって、動物にはないわけです。だからそこが観てもらいたいところなんです。映画の舞台となっている東洋館に来てもらって、日々の悩みを消化してもらいたい思いがあるので、それは全体的なテーマとして感じてもらいたいことですね。
――塙さんご自身は、お笑い人生で一番きつかった時はいつでしたか?
塙:くじけそうな時はしょっちゅうありますよ。常にそうですね(笑)。たぶん僕以外でも、ここ最近の芸人みんなに、明らかにくじけそうになる時があると思う。というのもSNSがあるから、見たくもない記事とか、そういうものが全部目に入る時代じゃないですか。
そうすると、どんな芸人でもそれを気にするようになっちゃう。気にしてしまい、SNS上だけのネタみたいなことになっちゃうんですよね。スマホの小さい世界だけの物の見方しかできなくなっちゃうことが、僕はあんまり好きじゃなくて。漫才協会に入った時はそんなものなかったですから。悩みの質がちょっと変わってきちゃいましたよね。
――萎縮してしまいそうですよね。
塙:やっぱり炎上が怖いとか、そういったことになっていくわけじゃないすか。そうすると、表現や思っていることを出しにくくなるわけです。そうなると唯一の砦としての舞台では思いっきり何でも言えるということなのですが、その舞台も、もしかしたら切り取られてネットに書かれてしまう時代が来るかもしれない。
そうなった時にどうするかと、僕はずっと思っています。なのでそれが今一番苦しいです。漫才をやったらすぐネットで反応がくるけれど、同時にネタのボケも全部書かれるし、ラジオで言ったこともすぐ書かれるので、芸人にとっては一番の天敵ですよね。そういうの、絶対ないほうが面白いわけですよ。
ラジオなんて“密室芸”が面白いわけで、そもそも全員に聞かせようと思っていないわですから。バラされることが一番つまんないことで、それとどう戦っていくのかということですよね。だから僕は今、SNS辞めようかなと思っています。
――ヤホー漫才を発明された塙さんがネットと距離を置こうとされている!?
塙:ネットを見なきゃいいんです。あと時事ネタを作らなきゃいいと最近思っていて。時事ネタを作ろうとすると、どうしてもYahoo!ニュースを見ちゃうじゃないですか。だから世間知らずな芸人になりたいんですよね。世間知らずぐらいがちょうどいい、本や新聞だけを読んでいればいいんじゃないかなと思って。
誰かがこう言ってたとか細かいことをネタにして、そこで笑うっていうことが、ちょっと嫌だなと思い始めています。日本一それをやっている芸人が何を言っているんだというのもありますけど(笑)。そんな自分が嫌だなって思っています、最近。ネット社会、嫌だなと思っている自分が嫌です(笑)。
笑いは苦しいことを乗り越えるために人類が生み出した“知恵”
「SNS辞めようかなと思っています」
――萎縮してしまいそうですよね。
塙:やっぱり炎上が怖いとか、そういったことになっていくわけじゃないすか。そうすると、表現や思っていることを出しにくくなるわけです。そうなると唯一の砦としての舞台では思いっきり何でも言えるということなのですが、その舞台も、もしかしたら切り取られてネットに書かれてしまう時代が来るかもしれない。
そうなった時にどうするかと、僕はずっと思っています。なのでそれが今一番苦しいです。漫才をやったらすぐネットで反応がくるけれど、同時にネタのボケも全部書かれるし、ラジオで言ったこともすぐ書かれるので、芸人にとっては一番の天敵ですよね。そういうの、絶対ないほうが面白いわけですよ。
ラジオなんて“密室芸”が面白いわけで、そもそも全員に聞かせようと思っていないわですから。バラされることが一番つまんないことで、それとどう戦っていくのかということですよね。だから僕は今、SNS辞めようかなと思っています。
――ヤホー漫才を発明された塙さんがネットと距離を置こうとされている!?
塙:ネットを見なきゃいいんです。あと時事ネタを作らなきゃいいと最近思っていて。時事ネタを作ろうとすると、どうしてもYahoo!ニュースを見ちゃうじゃないですか。だから世間知らずな芸人になりたいんですよね。世間知らずぐらいがちょうどいい、本や新聞だけを読んでいればいいんじゃないかなと思って。
誰かがこう言ってたとか細かいことをネタにして、そこで笑うっていうことが、ちょっと嫌だなと思い始めています。日本一それをやっている芸人が何を言っているんだというのもありますけど(笑)。そんな自分が嫌だなって思っています、最近。ネット社会、嫌だなと思っている自分が嫌です(笑)。




