第3回、女性たちからの恋文を読み上げながら辛辣な批評を下す公任のプレイボーイぶりがリアル光源氏だとネット上では囁かれた。公任を筆頭に、道長、藤原斉信(金田哲)、藤原行成(渡辺大知)による“平安のF4”が集まり、女性に関する談義を繰り広げる様は、『源氏物語』にも同じような場面がある。
「帚木」の巻に有名な「雨夜の品定め」としてあり、男性貴族たちが好き勝手に下世話な会話で盛り上がる。そんな他の貴族を横目に光源氏は横になって、あまり熱心に話には入らない。むしろ率先して批評していた公任は対照的で、光源氏的な振る舞いとはいえないことになる。
ただし談義前の公任は、床に寝そべるという光源氏的体勢をとっている。『源氏物語』には「柔らかい白い着物を重ねた上に、袴は着けずに直衣だけをおおうように掛けて、からだを横にしている源氏は平生よりもまた美しくて」(与謝野晶子訳)とあり、光源氏と公任の寝そべりの美しさは共通している。

一方、SNS上をパトロールしていると、秋山こそが光源氏だとする意見もあった。でもこれまた平安絵巻の男性貴族像からのビジュアル的判断なので、やっぱり安直かなと思う。ここで最初の問いをどちらがリアル光源氏なのかと修正しておく。でもこの問いになると筆者は途端に公任びいきの勢いをゆるめてしまう。
問題は公任の出世にあるからだ。花山天皇時代までは順調に昇進し、正四位まで位階が上がるが、その後、道長にあっという間に追い抜かれ、政治の中心から外れることになる。
対して天皇の子として生まれた光源氏は初まりからすでに従四位。39歳のときには、退位した天皇に等しい待遇の准太政天皇になる。
実資はどうかといえば、一条天皇時代に参議になり、最終的には右大臣まで上がる。何とか表舞台にカムバックして、大納言まで上がった公任だが、政治の面ではイケてなかったのか。
いやでも待てよ。『源氏物語』の「桐壺」の巻には、光源氏の美しさについて、「源氏の美貌を、世間の人はいいあらわすために光君といった」とあり、これは、やっぱり町田フィルターを通した公任を描写する記述としても成立する気がする。
かといって町田君のビジュアルを見て、すぐに光源氏だと即断するのはやっぱり慎むべきだしなぁ。うーむ。リアル光源氏を決めるのは、そんなに容易ではないらしい。
<文/加賀谷健>
加賀谷健
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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