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朝ドラ『虎に翼』は伊藤沙莉が“今っぽすぎる”?逆に効果的だと言える理由

間接的なモノローグ表現

『虎に翼』© NHK 第2回。司法科試験の勉強で夜学に通う下宿人・佐田優三(仲野太賀)に弁当を届けるため、夜の学校の薄暗い廊下を訝しげに歩く寅子の姿なんて、それこそどこからか迷い込んできたよう。  でも、下駄でスタスタ歩く音が響くロングショットは素晴らしく、伊藤沙莉の魅力がこのワンショットで丸ごと捉えられている。寅子が教室をのぞく場面は早くも本作のハイライト。  裁判官・桂場等一郎(松山ケンイチ)が講義するのは、法律上、女性が「無能力者」とされていること。このワードを耳にした寅子の頭の中は「はて」だらけ。すると、語りを担当する尾野真千子のしめやかなナレーションがいきなり参加型になるおかしさ。 「無能力者?」、「偉い感じの人に怒られるやつだ」といった具合に、恐ろしいひとり相撲のこのナレーションが、寅子の心中であふれる疑問符をどんどん代弁するのだ。  間接的なモノローグ技法と思われるが、ここは『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京、2020年)で繊細な独白表現を織り込んだ吉田恵里香の脚本がさえる。  伊藤が物語世界に存在するための足場を固める一助になっているのだ。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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