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「僕、殺人犯かクズの役が多いんです」39歳”道兼”俳優、SNSの声に対する素直な思い|NHK大河『光る君へ』

普段仲の良い吉高由里子とだから撮れた、まひろとのあのシーン

NHK『光る君へ』藤原道兼さて、これまで成長したまひろを演じる吉高と直接対峙したのは第8回「招かれざる者」のみ。まひろにとって道兼は、母を殺した憎き仇だが、道兼はまひろがあのときの幼き少女だとは知らない。道兼はまひろの父・藤原為時(岸谷五朗)を胸襟を開ける相手と思い、その家を訪れる。琵琶を手にまひろが道兼の前へと姿を見せたシーンは、言いようのない緊張感が続いた。 「僕はプライベートでの関係性を存分にお芝居に乗っけたほうがいいと思うタイプなんです。由里ちゃんとは、すごく仲がいいと思っていて、仲がいいからこそ、あの画が撮れたところがあるんじゃないかなと思っています。 まひろと道兼が一緒の画に収まっているシーンって、本当にない。そこでふたりの関係性というか、説明を一気に詰め込もうとすると情報過多になってしまう。でも出来る限りの情報は伝える必要がある。そのためにも、物語以上の、見てわかる、画から感じ取れるものがないといけなかった。その辺は意識しながら演じました。 あのシーンの道兼って、“お前、この人の母親を殺してるのに、何してるんだよ”という愚かさがすごくある。そしてまひろが葛藤しているシーンですよね。普段の吉高由里子って天真爛漫な、素敵な女性なんです。もちろんまひろも素敵な女性ですけど。あのお芝居ができるのはすごいなと、やっぱり思いました。いや、本当に“すげえな”って思いました」

『光る君へ』はやっぱりまひろと道長の物語

NHK『光る君へ』藤原道兼そして改めて、『光る君へ』はまひろと道長の物語だとした。 「やっぱりここにはまひろと道長が描かれていて、ふたりの物語がドラマチックに、彩り豊かになればと思ってやっています。いろいろな登場人物がいて、いろいろな物語が描かれ、出世したり、亡くなったりしていきます。けれど究極、ふたりの物語だと僕は思っています。特に序盤はそれが如実なので、彼らの起爆剤とか、彼らの家族の起爆剤になれればなと思っていました」 とはいえすでに道兼は、起爆剤以上の存在として、視聴者を引き付けている。父・兼家(段田安則)との関係に縛られていた道兼だったが、第14回「星落ちてなお」でその父も死に、長男・道隆(井浦新)が関白に。もぬけの殻のようになった道兼だったが、ここから道長との関係が大きく変わっていった。 「これまで道長に対してひどいことをしてきた。でも第15回(「おごれる者たち」)で、ベロベロになっている道兼のところに道長は来てくれて、声をかけてくれるんです。“変われますよ。兄上は変われますよ”と。避けず、逃げず、きちんといま道兼に必要な言葉を、弟である道長がぶつけてくれるというのは、すごいエネルギーのいることだし、道長の中でも乗り越えなきゃいけないことがいっぱいあるやり取りだったと思います。道兼の中で、あそこで道長に対しての感情がガラッと変わったんです」 道長との関係が大きく変わった道兼は、その生き方自体を大きく変えていった。 <取材・文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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大河ドラマ『光る君へ』はNHK総合テレビ毎週20時ほかにて放送中
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