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ロバート秋山らNHK大河で注目「芸人は芝居がうまい」説!その理由は“ゴールの明快さ”にアリ

男性ブランコの俳優業にも期待

さて、これから俳優業にも期待したい芸人は誰だろうか。2021年キングオブコント準優勝、2022年M-1グランプリファイナリストになった男性ブランコの浦井のりひろと平井まさあきを挙げたい。
彼らは、第170回直木賞を受賞した万城目学のデビュー作を原作にした『鴨川ホルモー、ワンスモア』(脚本・演出:上田誠〈ヨーロッパ企画〉)に男性ブランコが俳優として参加した。 『鴨川ホルモー、ワンスモア』は万城目の『鴨川ホルモー』とその外伝的続編『ホルモー六景』を原作にした、京都の大学生が千年もの歴史ある謎の競技・鴨川ホルモーを繰り広げる青春群像コメディだ。
舞台『鴨川ホルモー、ワンスモア』

『鴨川ホルモー、ワンスモア』アーカイブ配信: ~5月11日(土) 23:30まで(販売期間~5月11日(土)21:00)

中川大輔、八木莉可子、鳥越裕貴、清宮レイ(乃木坂46)、佐藤寛太など若手俳優たちのなかに上田誠の主宰する劇団ヨーロッパ企画の面々と男性ブランコやお笑いコンビ・かもめんたる(岩崎う大と槙尾ユウスケ)が参加して、フレッシュさと技巧がうまく混ざった座組で密度が濃い、ノンストップの2時間だった。
最左:男性ブランコ・浦井のりひろ 左から2番目:ヨーロッパ企画・角田貴志 双子役を演じた。写真提供:『鴨川ホルモー、ワンスモア』

最左:男性ブランコ・浦井のりひろ 左から2番目:ヨーロッパ企画・角田貴志
双子役を演じた。写真提供:『鴨川ホルモー、ワンスモア』

浦井は京大青竜会メンバーで双子の三好兄弟の弟を演じ(兄役はヨーロッパ企画・角田貴志が演じた)、双子あるあるで盛り上げた。相方とは違う俳優とのコンビ芸のようなことを行う器用さに唸(うな)った。
男性ブランコ平井まさあき 写真提供:『鴨川ホルモー、ワンスモア』

男性ブランコ平井まさあき 写真提供:『鴨川ホルモー、ワンスモア』

平井は京大青竜会メンバーの松永役。原作者も忘れていたというほど影の薄い松永という人物を、前髪ぱっつんの髪型で、ホルモーのポーズを決めるとシュールで、集団のなかで目立ち過ぎず埋もれきらない絶妙な存在感だった。

男性ブランコ、藤井隆 群像劇に美しく溶け込んでいた

映像でも演劇でも、お笑い芸人が参加すると、芝居がうまいとはいえ、特別出演的に、ピンポイントで印象的な役割が与えられがちなこともあるのだが、男性ブランコは『鴨川ホルモー、ワンスモア』という群像劇に美しく溶け込んでいた。彼らはもともと大学では演劇サークルに所属していたそうで演劇色が濃いのだろう。 群像劇にきれいにハマっていたといえば、『カラカラ天気と5人の紳士』(シス・カンパニープロデュース 作:別役実 演出:加藤拓也)の藤井隆も。あれほど芸人としてキャラが濃いにもかかわらず、お芝居のなかでは堤真一、溝端淳平、野間口徹、小手伸也と見事過ぎるバランスをとっていた。
 お笑い芸人は、お芝居の世界では頼れる傭兵(ようへい)のような存在で、彼らが参加している作品は間違いないといっていいだろう。作品選びの参考にしてみてほしい。 <文/木俣冬>
木俣冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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