
「生コッペパン コロッケ」(185円)、「白生コッペパン カスタード&ホイップ」(138円)
クロワッサン以上に大ヒットしているのが、生クリームを練り込んで焼き上げる「生コッペシリーズ」。2023年2月からの約1年で累計販売食数1億2千万食を突破した記録している、懐かしいけれど新しいコッペパンです。
「パンは“生”でうまくなる!」をコンセプトに開発され、“しとふわぁ” “しともちぃ” “しとむちぃ” の3種類の食感があり、それぞれパッケージに記載されています。
コロッケパンには総菜の存在感に負けない“しとむちぃ”(ムチムチ感)を、繊細なクリームをはさんだタイプにはあまく柔らかいクリームが口の中で長く味わえるように“しともちぃ”(モチモチ感)を採用するなど、具材によって最適な生地を使い分けています。
このように、1つのシリーズで楽しい世界を作りあげる開発スタンスが、パンにおいてヒットを生み出す条件とも言えるでしょう。

生クリーム生地には3種あり、食感がそれぞれ違います
ごちそう感のあるコッペ商品はセブンイレブンでも発見することができます。「愛媛県産せとか&ホイップ」(203円)は旬の柑橘を使用したふんわり食感のコッペパン。

「愛媛県産せとか&ホイップ」(203円)
コンビニの王者セブンのパンは十分においしいものの、食べ心地を期待・想像する楽しさまで提案していないスタンスは、ファミマとのちがいと言えるでしょう。もちろんどちらが好きかは人それぞれです。

ローソンの「じゅわバタ塩メロンパン」(160円)はおいしい。でも、いろいろ詰め込み過ぎていてどんな味でどんな食感なのかわかりにくい……?
ファミマのパンが秀逸なのは、シンプルながらも個性的な商品設計(例えばバターを使ったクロワッサンの中で一つだけ新しい要素を加える)でありながら、食べる前においしい想像がしやすい点にあります。
あまりに長いネーミングはときとして成功することもありますが、どんな味がするのかわからなくなってしまうことも。
子どもからお年寄りまで、作り手の想いや楽しさがきちんと伝わるファミマルベーカリー。今後も注目していきたいところです!
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>