自分の中の反射だけでお芝居をしていったほうが、よりリアルに

――そのほうがリアルに?
福士「これがもし、いわゆる王道のエンタメ作品や、時代劇のような自分自身とかけ離れた役であれば、いろんな勉強をして理解しないとその人になれない。
だけど、この作品は人間のリアルを描いている。そういう意味ではむしろそぎ落として、自分の中の反射だけでお芝居をしていったほうが、よりリアルになっていくんだろうなと。でも、滋賀弁を覚えるときはかなり脳ミソを使いました(笑)」

――いろんなことに挑戦できている福士さんですが、役者として『湖の女たち』は、いい経験でしたか?
福士「いい経験でした。そぎ落としていく作業というのを初めて学びました。新しい世界が広がったなと感じています」
――今年は監督業にも初挑戦。『イツキトミワ』を観て泣きました。
福士「本当ですか! うわ、嬉しい」

――脚本も書かれたんですよね。
福士「はい。まったく経験がなかったのですが、挑戦させていただきました。最初はプロットだけ書くつもりだったのですが、想いを込めれば込めるほど全部書きたくなって」
――新しいことに挑戦してみて、自分自身への新たな可能性を感じましたか?
福士「もちろん未熟ではありますが、ショートフィルムとして完成させることができたのは嬉しかったし、自分が俳優として14年間ほど積んできた経験も活かされたと思います。
これからも俳優のお仕事はもちろん、制作にも携わるチャンスがあったら挑戦したいなと思います。もともと自分はひとつのことではなく、いろんなことに取り組みたいタイプなので、これからもいろんなことに挑戦していこうと思っています」