福士蒼汰31歳、多忙を極めていても「ストレス」が溜まらないワケ
昨年5月、30代に入った福士蒼汰さん。海外作品『THE HEAD Season2』(Hulu)で全編英語のセリフに挑戦したかと思うと、大評判を集めたNHK『大奥』ではふた役を務めるなど、俳優としての実力を発揮しています。
現在は、松本まりかさんとW主演を務める映画『湖の女たち』が公開中で、さらに今年はWOWOWのアクターズ・ショート・フィルム4で短編映画『イツキトミワ』を監督。
そんな福士さんに話を聞くと、「よく、自分のプラスを伸ばしていったほうがいいと言いますよね。でも僕は、そうなのかな?と思うんです」と、一見、意外な言葉が返ってきました。
――公開中のミステリー『湖の女たち』は全くの別人です。それこそ、らしさゼロ。現場ではカメラの外でも、松本まりかさんに全く話しかけなかったと聞いています。(福士さん演じる圭介は、松本さん演じる佳代に歪んだ支配欲を募らせていく役柄)
福士蒼汰さん(以下、福士)「おっしゃる通りです」
――一般的なイメージの福士さんも、こうして目の前にいる福士さんも爽やかな方ですが、本編ではそんな印象を完全に覆します。オファーを受けることに躊躇は?
福士「吉田修一さんの原作で、大森立嗣さんが監督だと聞いて、それだけで魅力的に感じましたし、実際に作品を読んでも、全く躊躇はありませんでした。周りの方々は、あまりに僕のイメージと違うので、戸惑いはあったかもしれません」
――ですよね。福士さんが「こんなセリフまで口にするの!?」とビックリするようなシーンも出てきますし。
福士「僕自身は、絶対に間違いない作品だと思いました。ただ原作を読んで、自分のキャラクターの難しさや、理解しがたいところがあったので、そういった部分に悩みました。佳代の心情は詳細が描かれているのですが、圭介に関しては、刺激剤のような感じがあって、佳代のほうから読み取る必要があるというか」
――深堀りが難しい役柄だったんですね。
福士「現場に入ったら、大森監督が“全部引き算でいいから”と。その言葉が圭介を演じる上でかなり重要だったと思います」
――結局、圭介のことはどんな人物だと。
福士「頭で理解しようとしても、すべて理解することは難しいんです。彼の状況と、苦悩している、葛藤しているということだけを頭に置いて、あとは、お芝居をするその瞬間だけにフォーカスしました」
――理解しがたい人物を演じる際は、どういうマインドで向き合うのでしょう。
福士「左脳を放棄して、いかに右脳だけでお芝居できるか。こう感じたからこう動きたい、だからこう喋る、動く。それだけにフォーカスする。自分のお芝居が観ている人にどう映るか、ということは考えない。脳ミソを通さずに脊髄(せきずい)でお芝居をするような感覚です。理解しようと考えるのではなく、感性を頼りにする。そのほうがよりリアルになるかなと」

周りは「これ、福士くん、やるの?」って

理解しようと考えるのではなく、感性を頼りに
