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小学生の息子の「学校に行きたくない」訴えに、蘇ってきた“私の暗い過去”<漫画>

2年間のブランクから復学する難しさ

中学生――賢くて要領がいいタイプに見えていたという弟さんですが、若くして自死されてしまったことが漫画の中で描かれています。もう少し詳しくお聞きしてもいいでしょうか。 最上:弟は自分から動くタイプではなかったので、その分すごく我慢をしながら生きていたと思います。それは、すごく危険なことだったのではないかと思うんです。あまり行動しないで、つらいことに耐え続けていると、いつの間にかリミッターが外れて「もういいや」となってしまったのかもしれません。でも当時の家庭の状況では、弟は我慢する以外どうしようもなかったのかなと思います。 ――約2年間の不登校を経て、中3で復学してから大変だったことはありましたか? 最上:まず勉強が1番大変でした。小学校6年生の後半から学校に行っていないので、中1で習う基礎の部分をまったく教わっていなかったんです。中2からは「適応指導教室」で少しは勉強していましたが、普通の学校と違って、生活習慣を身につけたり仲間と交流することに重点が置かれていたので、勉強にあまり時間を割いていませんでした。そこからいきなり中3の内容に入ったので、本当に何も分からないんです。試験で0点を取ることも普通にありました。 当時は内申点の付け方が相対評価だったので、何人かに最低点を付けなければいけないと決まっていたと思います。「最低評価だけは避けたい」と思って頑張っていたんですが、うまくいきませんでした。通知表の数字で「全然ダメ」と評価されるのはすごくきつかったです。

復学してから苦労したこと

――勉強面以外で、ブランクを感じたことはありましたか? 最上:体力がかなり落ちていました。同級生達は、朝の8時から6限までずっと机に座って授業を受けてきたわけです。私は不登校になってから適応指導教室に通ってはいたのですが、通常の中学校のような環境ではなく、それよりずっと緩やかな感じで過ごしてきたので、普通の学校生活に最初は全然ついていけませんでした。毎日制服を着て、早い時間に登校して、学校が終わる時間も遅く、課題がたくさんあるというだけで、ものすごく疲れました。 ――学校生活のサイクルに慣れていないと、かなり負担に感じるものなんですね。 最上:中3だと体格が大人に近づいているし、部活をやっていたりするので「皆すごく元気だな」と思っていました。私は不登校の期間は家にこもりがちで体を動かす機会がなかなかなく、いきなり社会復帰した状態だったので体力的につらかったです。 そのせいか、復学してからはしょっちゅう熱を出したり風邪を引いて、学校を休みがちでした。大人になった今でも体が弱いのは、体の基礎作りをする時期にしっかりと運動ができなかったせいなのかなと思っています。 その経験があるので、息子が不登校になったときは家で運動できるようにトランポリンを買いました。体力が落ちると取り戻すのがすごく大変なので、「運動って大事なんだな」と身に染みて感じています。 <取材・文/都田ミツコ>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。
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