子どもに中学受験をさせない「2つの決定的なデメリット」。東大卒の人気家庭教師に聞いた
こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。
今、中学受験市場が熱い! というのは、多くの人が感じているかと思います。背景には、少子化による子ども1人当たりの教育費の上昇や、公立校への不信感などがあると言われています。
こうした状況下で、近年では中学受験をきっかけとする教育虐待や家族関係の悪化も問題視されています。かくいう筆者も実は25年ほど前に、中学受験をきっかけに心を壊してしまった一人。親の意向によって受験のレールに乗ったものの、合格後の学校と合わず、2年後に私立中学校を自主退学したという経歴を持ちます。
今回話を聞いたのは、家庭教師として25年以上のキャリアを持ち、“中高一貫マニア”を自称する受験アドバイザーで、年間300件のコンサル依頼が殺到する東大卒のフリーランス家庭教師・長谷川智也さん。
中学受験市場の加熱の背景とは? 今、中学受験の現場で起きていることとは? 難関中学受験に挑む子どもとその親たちに日々向き合い、これまでに約2000人を指導してきたという長谷川さんに、そも実態を語ってもらいました。
長谷川さんの家庭教師としてのキャリアをスタートさせたのは1999年。東京大学入学後に、学業と現在も続けるバンド活動の両立のために、家庭教師のアルバイトを始めたことがきっかけです。
それから現在にわたり25年間以上、中学受験だけでなく高校や大学受験など、個別指導と受験カウンセリングを行っています。
25年であれば、おそらく受験のブームも何回か目の当たりにしているかと思いますが、近年の加熱具合は、長谷川さんの目にはどう映っているのでしょうか。
「中学受験が当たり前になった背景の一つに、『ネット社会によって”真実”が明るみになってしまったこと』があると思います。『公立中学の状況はヤバい!』『結局学歴社会は終わっていない』といった情報が知られてしまったことで、『やっぱり学歴はあったほうがいいし、早いうちにお金をかけたほうが有利ではないか』といった判断をする家庭が増えたのではないでしょうか。
さらに、さまざまな報道や中学受験の実情を描いた漫画『二月の勝者-絶対合格の教室』(高瀬志著作/小学館)などメディアの力も加わり、勉強熱心でない子や、子どもに勉強習慣をつけたいだけの家庭も受験に挑戦するようになり、今の状況があると思います」
長谷川さんはこの流れを、“アメリカ的な自由主義”と表現します。教育という分野はこの25年でとにかく自由化が進み、「いつどこで投資するかは個人の判断」という流れが加速したとか。その結果の、中学受験市場の加熱というわけです。
熱く語る長谷川さんですが、そんな長谷川さんの元には、セカンドオピニオンとして塾の学習のフォローを求める親御さんが後を絶ちません。現在定期指導の定員はいっぱい(コンサルは受け付けている)とのことですが、そもそも長谷川さんが受験生に向き合い続けるようになった理由は、どこにあるのでしょう。
「もともと僕は、厳しい両親のもと勉強漬けの子ども時代を過ごしました。大学生になったら、やりたかったバンド活動と学問を両立したいとずっと考えており、効率的にお金を稼ぐ方法として、家庭教師を選択したのがキッカケです。そこから塾講師や予備校講師、教材作成など、いろんな形態で教育に関わりましたが、音楽の師である方のお子さんの勉強を見たことが、家庭教師業を本業にする転機になりました。
ノートを見たり学習面の話を本人や保護者からじっくり聞く中で、相手の弱点や強化すべき部分を初対面の段階から見つけられ、受験までの学習計画をある程度、体系的にアドバイスできるようになったことを実感できたんです。そこから受験コンサルティングの顧客を募集し始め、すでに行っていた受験情報ブログからの集客もできるようになり、今の形に至ります」
現在は定期での家庭教師業に加え、スポットでの受験相談なども多いと言います。長谷川さんを求める声は中学受験の加熱と並行し増えているそうですが、その理由は近年の塾の指導傾向の変化にもあるとか。
「最近は塾側のフォローがなくなり、“(大学受験の)予備校化”が進んでいます。世話焼きはほとんどせず、家庭のフォロー任せといった塾がトレンドになっています。しかし多くの家庭は共働きですから、フォローしきれなくなります。そうなると家庭教師が必要になっていきます。特に世話を焼かない傾向が強い塾である、『SAPIX』(首都圏・関西圏の中学受験の大手塾)に通う子のほとんどは、おそらく家庭教師をつけていると思いますよ」
中学受験における塾代は平均184万円(※)という調査がありますが、それは塾(通常クラス)+塾(長期休暇の講習)+家庭教師、といったコンボ技の結果のようです。教育費が青天井になるのも頷けます。
※クレジットカード会社のモデル百貨(長崎県佐世保市)の調査より(受験をして中学生になった子どもを持つ全国の保護者500人を対象に、2024年1月24日~2月1日に実施)
加熱する中学受験市場の背景
近年では塾が“世話焼き”をしない傾向
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【長谷川さんの講演情報】
「第三回お受験講演&特別演奏会」
講演テーマは「東大にだっていけるようになる、4タイプ別声掛け法」を予定。
日程:2024年6月22日(土)
場所:代々木スタジオロッジ(〒151-0053 東京都渋谷区代々木1丁目30−1 代々木パークビル B1)
開場:10:30
開演:11:00
お申し込みはこちら
「第三回お受験講演&特別演奏会」
講演テーマは「東大にだっていけるようになる、4タイプ別声掛け法」を予定。
日程:2024年6月22日(土)
場所:代々木スタジオロッジ(〒151-0053 東京都渋谷区代々木1丁目30−1 代々木パークビル B1)
開場:10:30
開演:11:00
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