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『虎に翼』の“名シーン”ベスト5。3位は「父・直言の懺悔」。涙なしに見られない1位は

1位:寅子×優三の変顔対決にみる夫婦の絆(第40話)

そして私が前半で最も好きだったシーンは、寅子と優三の変顔対決です。 寅子と優三は、静かに温かく関係を育んできました。寅子のことを「ずっと好きだった」優三が、いつも寅子のことをさりげない優しさで包み込むエピソードはどれも大好きです。法律の道を志そうとする寅子に法律の本を渡したり、夫婦の初夜には「そんなに緊張しなくても、指一本触れないから」とイビキをかきはじめたり、寅子が妊娠して弁護士を辞めた際には何も言わずに子どもの誕生を心待ちにしたり。何より戦地へと赴く前に、優三が寅子に伝えたメッセージは最高のラブレターでした。

『虎に翼』© NHK

「僕の大好きな、あの何かに無我夢中になっている時のトラちゃんの顔をして、何かを頑張ってくれること。いや、やっぱり頑張んなくてもいい。トラちゃんが後悔せず、心から人生をやり切ってくれること。それが僕の望みです」 相手のありのままを受け入れて、好きになる。相手が相手らしく生きることを尊重する。そうして育まれたふたりの絆を象徴しているのが、第40話の変顔対決なのです。もともとは高等試験の際、お腹を下しそうになった優三の緊張をほぐそうと「あんまり人に見せない方がいい顔」を寅子が披露したことに由来。出征の朝、神妙な面持ちの寅子を優三は変顔で和ませました。その後、ひとり歩いてゆく優三を追いかけて、寅子も渾身の変顔を。そして泣き笑いの変顔を優三も返す。 「好き」でも「愛している」でもない。変顔で、想い合う夫婦の絆を表現したふたりが愛おしくてたまりません。後半でも、優三の優しさがきっと寅子を支えてくれるはず。

前半だけでも傑作エピソードは山のように

ほかにも、実在の事件をモデルにした毒饅頭事件や、共亜事件における桂場の名判決文、寅子と女子部の同窓生たちとのエピソード、幼なじみ花江と兄・直道(上川周作)の葛藤、恩師・穂高重親(小林薫)に対する寅子覚醒の「はて?」などなど、前半だけでも傑作エピソードは山のようにありました。 毎話、毎週、積み上げられてきた素晴らしいシーンのなかから、今回は筆者の個人的好みで5つのシーンを選びましたが、皆さんの好きなシーンはどこですか? 7月から後半戦へと突入し、法曹界の重鎮の父をもち自らも裁判官である星航一(岡田将生)も登場。ますます目が離せない展開が期待できそうです。 <文/鈴木まこと>
鈴木まこと
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201
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