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不倫ドロ沼は期待できず!“クズ男”の胸の内を淡々と描き「誰にも共感できない」の声も…『さっちゃん、僕は。』 

「浮気・不倫」モノだが、メイン4人の「誰にも感情移入できない」の声

【※以下からはドラマ『さっちゃん、僕は。』第6話までの内容を含みます】 無論、だからといって浮気・不倫が許されるというものではないだろう。京介も紫乃も、お互いのパートナーとの関係を壊すつもりはなく、嘘を重ねることに罪悪感もなかったのだから。 となると、さっちゃんや要に同情したくなるところだが、これもまた難しい。
さっちゃんはあまりに無邪気で、重い。遠距離恋愛の彼氏にわざわざ手紙でのやり取りを求めるのだ。 原作のキャラクター像とは違って、小柄で素朴な雰囲気の俳優が起用されていることもあって実写ドラマではかなり幼くも感じられる。5年交際してきても、京介の本質や本音にはまったく気づかず、どこか恋愛ごっこ的な雰囲気が漂うのだ。 要はまだドラマでは出番が少ないが、「別宅」に盗撮カメラ・盗聴器を仕込んでおり、紫乃の不貞を把握したうえでなぜか沈黙を保っている。今後の展開のネタバレになるのでこれ以上は書かないが、要もちょっとトリッキーなキャラクターだ。
このメイン4人(要は出番が少ないが)の“こじらせ”が強いこともあって、視聴者からは「誰にも感情移入できない」という声も多く上がっている。 そのうえ、この手の作品には付きものな修羅場らしい修羅場も劇的な展開も(今のところ)なく、淡々と話が進んでいくので、どうにも盛り上がりどころがない。どこか単館系の邦画を眺めているような気分にもなる。

『さっちゃん、僕は。』は身勝手すぎる「クズ男」の物語?

と、ここまで書いて気づいた方も多いだろうが、『さっちゃん、僕は。』ではあまり浮気や不倫が大きくクローズアップされない。むしろ、「さっちゃん、僕は……」というモノローグに象徴されるように、京介のある種の“青春ストーリー”という面が強く、言葉を選ばずに言うならば「クズ物語」といったところか。 イケメンで、女子に対しても親切で気が利く“天然タラシ”だったことでモテモテだった京介が、自身に父親同様のクズ性があることに気づき、それに向き合うようなお話なのだ。 京介から別れ話を切り出され、浮気をしていたことまで打ち明けられたさっちゃんは、しかし京介の父親に振り回された女性たちのように、第6話では「他の人とセックスしてもいいよ」とまで告げて京介にすがりついていた。 7月30日深夜放送の第7話では、ここにきて京介がさっちゃんに愛おしさを感じるようになり、紫乃と決別しようとする。なんという身勝手!  理想的なカレシの殻を破ると“クズ男”だったことを知ったさっちゃんはこのまま京介と結ばれるのか。 この「ドラマストリーム」枠は多くの作品が全8話、まれに全9話となっているが、となると残すところあと2~3話。原作はすでに完結しているが、ドラマではどのような決着を見せるのかが気になるところだ。 <文/新城優征>
新城優征
ドラマウォッチャー。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。
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