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「見た目が若すぎる」の声多数。朝ドラ『虎に翼』35歳俳優の“老けメイク”が甘いワケ

航一役の最終ビジョン

『虎に翼』© NHK では岡田将生はいったい、どこにたどり着こうとしているのか。すくなくとも、『虎に翼』では、“アラ還”であるはずなのに若々しく感じてしまう航一役の最終ビジョンをどこに見定めているのか?  ここでもう一度、霞という一語を引っ張りだしておきたいと思う。そう、霞。新潟での勤務時代の航一が、心の内を初めてつまびらかにしたのは第18週第90回のこと。戦中に総力戦研究所の一員だった彼は、戦争責任の一端が自分にもあるのではないかと悩み苦しんでいた。心を開かせたのは寅子だ。  常連のカフェ「ライトハウス」の店外でひとり冬の外気につつまれた航一の頭上、その髪の毛の何本かに雪のひと粒ひと粒が結晶化していた。毛先で溶けずに、固体の状態を何とか維持しようとする美しさがあった。  その美しい記憶から、航一は今、越冬した春に空気中を漂う霞のように自らの精神を研ぎ澄ませているように見える。  のどかの結婚話が持ち上がり父親として心を乱すなど、激しく気持ちを高ぶらせるエモーショナルな瞬間もそれなりにあったりはする。でもその最終ビジョンは、とても穏やかで透き通った霞そのもの。空気に自然となじむおぼろげな存在なのだと思う。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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