――病名が発覚するまでの過程を簡単にお聞かせください。
「宿泊したホテルで海外からの旅行客と接触後、夫と私に軽い風邪の症状が現れました。
そして、その後夫にさまざまな症状が現れ、突然動けなくなるということが繰り返し起こりました。多くの病院やクリニックに受診をし、検査を行いましたが、症状が重いわりに大きな異常は認められず、不思議に思っていました。
そこで夫は自身で病気について調べ始め、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(以下ME/CFS)の患者会と接触。そのメンバー経由で、道内でME/CFSを多く診ている医師を紹介してもらい、夫がME/CFSの診断を受けました。
夫の受診について行った際、私も一緒に受診することになり、同時にME/CFSと診断されました。急に崩れ落ちるように体調を崩すことは頻繁にありましたが、『夫のケアを頑張りすぎたかな?』くらいにしか感じていなかったのですね」
――中医学の知識をお持ちです。病名発覚、闘病生活にどのように活かしましたか。
「私はいわゆる『理系』ですが、社会人になってからは中医学に興味を持ち、自主的に勉強をしていました。
医学論文を読むことができ、中医学の知識があり、夫婦で助け合えたことは、この病気と闘う上で大きいと感じています。もし、知識や情報収集ができなかったら、医療資源が乏しい田舎に暮らしていることもあり、この病気に対して手も足も出なかったでしょう。
このように、私は後遺症患者の中でもかなり有利な立場にいましたが、それでも追いつめられて死を選ぶ寸前まで行きました。それくらい、ME/CFSはシビアな病気です」